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PSPの情報です(コピペ 商品名 PSP®「プレイステーション・ポータブル」 本体色 ブラック 型番 PSP-1000 希望小売価格 19,800円(税込価格 20,790円) 発売日 2004年12月12日(日) 外形寸法 約170×23×74mm(幅×高さ×奥行き) 質量 約280g(バッテリー含む) CPU PSP CPU(動作周波数1~333MHz) メイン・メモリ 32MB 内蔵DRAM 4MB ディスプレイ 4.3インチ 16:9ワイドスクリーンTFT液晶 480x272ピクセル 1,677万色 バッテリーパック使用時: 最大輝度 180/130/80 cd/m2 ACアダプター使用時: 最大輝度 200/180/130/80 cd/m2 サウンド ステレオスピーカー内蔵 主なI/O IEEE802.11b準拠 (Wi-Fi) Hi Speed USB(USB 2.0準拠) メモリースティック PRO デュオ IrDA 主な端子 “メモリースティックデュオ” スロット USB端子 外部電源供給端子 本体電源入力端子 ヘッドホン/マイク端子 キー・スイッチ類 方向キー上下左右、アナログパッド △、○、×、□ボタン、L、Rボタン x 1 START、SELECT、HOME x 1 POWER/HOLDスイッチ x 1 ディスプレイ、サウンド、音量+/-ボタン x 1 ワイヤレスLANスイッチ(ON/OFF) x 1 OPENボタン(UMD) x 1 電源 内蔵リチウムイオンバッテリー 外部ACアダプター1 内蔵ドライブ 再生専用“UMD”ドライブ 対応プロファイル PSP®(PlayStation®Portable) Game UMD Audio UMD Video 対応コーデック [Video] UMD H.264/MPEG-4 AVC Main Profile Level3 メモリースティック MPEG-4 SP(AAC) , H.264/MPEG-4 AVC(AAC) [Music] UMD ATRAC3plus™ , Linear PCM メモリースティック ATRAC3plus™ , Linear PCM , MP3 ,MPEG-4AAC [Photo] JPEG(DCF2.0/Exif2.21) , TIFF , BMP , GIF , PNG セキュリティ 暗号化方式:128bit AES 著作権保護技術:マジックゲート アクセスコントロール リージョン、視聴年齢制限(パレンタルロック) ワイヤレス通信機能 インフラストラクチャーモード アドホックモード(最大16台同時接続) 本体同梱周辺機器 PSP 専用ACアダプター PSP 専用バッテリーパック
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その一撃は唐突だった。 『予測』不能ッ、『防御』も不能ッ! 完全に不意を突いて、その一撃は用心深いなのはの懐に直撃した。 今、SLBの為の魔力を終息し終え、発射寸前という臨界状態のなのはの胸から、何者かの手が『生えている』―――ッ!! "ドッバアァアアアア―――z_____ッ!!" 「なッ……ぁ、ぁああ……ッ!!?」 突如、何の前触れもなく自身の体の内側から走った衝撃に視線を降ろせば、何者かの腕が胸から突き出ていた。 肉体を突き破って出てきたものではない。しかし、この手は確かになのはの内部を貫いて出現しているッ! そして、その手のひらの中には、なのはの魔力の源である『リンカーコア』があった。 貫いていたのは『肉体』ではなく『魔力的器官』だ。 「な……なのはァアアアアーーーッ!!」 ある種凄惨な光景に、それを見てしまったフェイトが悲壮な叫びを上げた。 しかし、助けに行きたくとも、シグナムがそれを許さない。 「う……あ、あ、ぁあああ……っ」 全身を襲う脱力感と内臓に直接触れられているような激痛を感じながら、なのはは思考を回転させた。 SLBは……『撃てる』! 依然、魔力は集束中! だが、自身の魔力が猛烈な勢いで減少している。『行動』しなければ、今動けるうちにッ! すぐにでも気絶してしまいそうな、断末魔の一瞬! なのはの精神内に潜む爆発力がとてつもない冒険を生んだ。 普通の魔導師は追い詰められ、魔力が減少すればリンカーコアを庇って逃げようとばかり考える。 だが、なのはは違った! 逆に! 『な、何……この子!?』 遠く離れたビルの屋上から、なのはのリンカーコアをデバイス『クラールヴィント』によって掴んでいたシャマルも、その変化に気付いた。 「レイジング……ハート、『バインド』……ッ!!」 なのはは自らの心臓とも言うべきコアを握り締めた敵の腕を、逆にバインドで自らの体ごと縛り付けて、固定したのだ! 「馬鹿な、正気か……っ?」 「なのは、なんて事を……!」 それと見たシグナムとフェイトも戦闘を中止するほどの、驚愕の判断だった。 自分のリンカーコアを握る相手の腕を、逆に『固定』する。普通の者はそんな判断は下さない。 実際に、なのはも一人で戦っていたのなら、こんな無茶はしなかっただろう。まず、ダメージを最小に押さえる事を考える。 しかしッ、なのはは本能で理解していた。 感覚で分かる。魔力が吸い上げられる感覚、この手は自分の魔力を『吸収』している! (これは……『この攻撃』はマズイッ! 魔力弾とか結界とか、そういう魔法攻撃じゃなく、この全く違う『攻撃』は危険だ……ッ!) 敵を倒す為の手段ならば、コアを捉えた時に全ては決している。 だが、敵はコアを潰すのではなく吸収する事を選んだ。 その行為にどういう『目的』があるのかは分からない。しかし、魔力を『奪う』という手段が、計り知れない『大きな目的』に直結しているのだと、なのはは直感した。 この『敵』、この『目的』を放置しておくのは危険だ。ここで倒しておかなければならない―――ッ! なのはは、己の直感に従って、そう判断したのだった。 「目標、変更……既に、『位置』は掴んでいるの……ッ!」 『……! い、いけない!!』 レイジングハートの砲口が向きを変える。 シャマルは我に返った。あの少女は、自分を捉えている。自分は既に狙われている、と! 「スター……ライト……ッ」 「シャマル!」 冷静に動けたのはザフィーラだけだった。 アルフとユーノを弾き飛ばし、全速力でシャマルの元へ駆けつける。 「ブレイカァァァーッ!!」 次の瞬間、桃色の閃光が一直線に空間を切り裂いた。 『シャマル、無事か!?』 『……ええ、なんとか。寸前でザフィーラが防御してくれたわ』 『だが、逸らすので精一杯だった。おまけに、俺もダメージを受けた。とんでもない威力だ、片腕が動かん』 爆光の後、すぐさま念話を飛ばしたシグナムの心に仲間の声が返ってくる。 シグナムは安堵した。 ヴィータの消息も不明な今、これ以上仲間を失うのは御免だった。 そして今、もう一つの意味でも安堵していた。 なのはは、SLBを放つと同時に、力尽きて倒れ伏していた。 「さすがに、無茶をしすぎたようだな。だが……正直冷や汗をかいたぞ。恐ろしい発想と度胸を持った魔導師だ」 「な、なのはぁ~……」 一方のフェイトはシグナムとは全く正反対の心境だった。 「わ……私、どうすれば……? な、なのはが……嘘だ!」 「……どうやら、あの魔導師がいなければ本当に何も出来ないようだな」 未だ戦える状態にありながら、既に戦意喪失してうろたえるしかないフェイトを冷めた目で一瞥し、シグナムはレヴァンティンを構えた。 予想外の事態はあったが、魔力は十分に手に入れた。あとはヴィータを回収して、増援が来る前にここから逃走するだけだ。 「ザフィーラとヴィータの容態も気になる。さっさと済ませるか……消えろ!」 目の前にシグナムが迫っても、もはや震えることしか出来ないフェイトに向かって無慈悲に剣を振り上げる。 ―――しかし、突如下方から閃光が飛来し、シグナムは反射的にそれを回避した。 「何……っ!?」 「……え?」 フェイトから離れたシグナムを、更に別の閃光が襲う。 桃色の光を放つ魔力弾。それが四つ、ミサイルのように自在に軌道を変えて、シグナムに襲い掛かっていた。 それはッ、間違いなくなのはが持つ魔力の光! 彼女の魔法『ディバインシューター』だったッ!! 「な……」 フェイトは目を見開いて、魔力弾の飛来した方向に視線を走らせた。 「ディバイン……シュー……ター……」 「なのはァアァァァ―――ッ!!」 起き上がる事も出来ないほど衰弱した体で、しかしなのはは半ば無意識に魔法を使い続けていた。 朦朧とする意識で操作されているとは思えないような正確さと、獣のような獰猛さで、ディバインシューターは逃げ回るシグナムに追い縋っていく。 「うっ、ううっ……。本当に、その通りだったんだね……なのは」 フェイトは、ボロボロになりながらも戦うなのはの姿に溢れる涙を堪えきれず、震える声で呟いた。 脳裏に、かつてなのはと戦った時の事が思い出される。 あの時、なのはの示した『覚悟』が。その時、なのはが言葉にした『覚悟』が。 「『いったん食らいついたら、腕や脚の一本や二本失おうとも決して『魔法』は解除しないと』私に言った事は!」 海上での戦い。事実上、なのはとの最後の戦いになったあの時、彼女の叫んだ言葉が鮮明に浮かんでくる。 その言葉は、あるいは冷酷な響きを持っているのかもしれなかった。 ―――しかし、同時にフェイトは別の言葉も思い出していた! なのはが、厳しさだけではなく、途方もない優しさを抱えている事を実感した時の言葉も! 全ての出来事が終わり、一旦のの別れとなった、二人で会ったあの時の事―――。 「これから、もうしばらくお別れになっちゃうね……なのは」 「……うん」 「私ね、なのはと友達に……なりたいな」 「……」 必死に言葉を紡ごうとするフェイトの様子に、なのははチラリと一瞥を向けただけだった。 「でも、私、友達になりたくても、どうすればいいかわからない……。だから、教えて欲しいんだ、どうしたら友達になれ―――」 「ねえ、フェイトちゃん。さっきからうるさいよ 『友達になりたい』『友達になりたい』ってさァ~~」 「え……」 無言のなのはに不安になり、捲くし立てるように喋っていたフェイトは、突然遮ったなのはの突き放すような言葉に凍りついた。 恐る恐る顔を上げれば、なのはは戦った時のような強い視線で自分を見つめている。 その強すぎる意志の瞳を、フェイトは睨まれているのだと感じた。 「どういうつもりなの、フェイトちゃん。そういう言葉は私達の世界にはないんだよ……。そんな、弱虫の使う言葉はね……」 「ご、ごめんなさい……っ!」 なのはの強い口調に、フェイトは絶望的な気持ちになりながら俯いた。 拒絶されたのだと、考えた途端に涙が溢れてくる。 友達になりたいなどと、なんておこがましい考えだったのか。フェイトは自分が分不相応な領域に踏み込んでしまったのだと感じた。 ……だが、そんな弱気な考えに沈んでいくフェイトを意に介さず、なのはは告げた。 「ごめんなさい……もう友達なんて欲張りな事言わないから……っ」 「『友達になりたい』……そんな言葉は使う必要がないんだよ。 なぜなら、わたしや、わたしの親しい人達は、その言葉を頭の中に思い浮かべた時には! 実際に相手を抱き締めて、もうすでに終わっているからなの―――」 そして、なのはは泣きじゃくるフェイトを強く抱き締めた。 「え、なのは……?」 「『友達になりたい』と心の中で思ったのなら、その時スデに絆は結ばれているんだよ」 そう言って笑ったなのはは、やはり、いつもの幼い少女の顔ではなかったが―――フェイトの全てを包み込むような、黄金の輝きを放つ笑顔を浮かべていた。 「な、なのはァァ~……ううッ」 「フェイトちゃんもそうなるよね、わたしたちの友達なら……。わかる? わたしの言ってる事……ね?」 「う……うん! わかったよ、なのは」 「『友達だ』なら使ってもいいッ!」 今度は嬉しさで泣きじゃくるフェイトの体を抱き締めた、小さいけれど大きく、暖かいなのはの腕を、今でもはっきり覚えている―――。 「―――わかったよ、なのは! なのはの覚悟が! 『言葉』ではなく『心』で理解できたッ!」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ そして、フェイトは変貌していた。 その『面がまえ』は、10年も修羅場を潜り抜けてきたような『凄み』と『冷静さ』を感じさせる。それは、はっきりと『成長』だった。 もう、プレシアの影を追い続ける泣き虫のママッ子(マンモーニ)なフェイトはいなくなったのだ! 「『友達になりたい』と思った時は、なのはッ!」 『<Scythe form> Setup!』 フェイトの戦いの意思に呼応し、バルディッシュがフォームを変化する。 「―――すでに私達は絆で結ばれているんだね」 かつてない速度で飛翔する。 本来の戦闘スタイルを取り戻したフェイトは、かつてなのはと戦った時と同等……いやかつて以上のスピードでシグナムに肉薄した。 レヴァンティンの刃と、バルディッシュの光刃が激突する。 「何、この気迫……! さっきとはまるで別人だ!?」 『シグナム、聞こえる? ザフィーラとヴィータを連れて逃げたいんだけど、ダメなの! まだ私の腕は固定されているみたいなのよ!!』 眼前に迫るフェイトと聞こえてきたシャマルの念話に、歴戦のシグナムをして冷たい戦慄が走り抜けた。 「やるの……フェイトちゃん。わたしは……あなたを、見、守って……いる、よ……」 ―――もはや半ば気を失いながら、魔法を行使し、且つ自分の命を鎖にして敵を捉える続ける少女の覚悟。 ―――僅か時間で、臆病な弱者から戦士へと変化した目の前の少女の成長。 シグナムは自らの体験している出来事が、まったく未踏の領域にある事を理解した。 苦境には何度も立たされた。命がけの戦いにも挑んだ。 だが、今自分が目にしているものは、それらとは全く種類が違う『脅威』だ―――! 「何者だ……お前達は!?」 「なのはが選んだ……『撃退』じゃなく『撃破』! アナタたちはここで倒すッ! 私はフェイト・テスタロッサ! 高町なのはの『友達だ』―――ッ!!」 バ―――――z______ン! リリカルなのはA s 第二話、完! 戦闘―――続行中!! ヴィータ―気絶中。 シャマル―拘束中。 ザフィーラ―負傷。なのはのバインドを解除作業中。 アルフ、ユーノ―負傷、気絶中。 なのは―昏睡状態。しかし、魔法は依然継続中。 to be continued……> 前へ 目次へ 次へ
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「いらっしゃいませ。ようこそ―――っ!?」 ホテル<アグスタ>の受付に差し出された招待状代わりの身分証明書を眼にした瞬間、男の営業スマイルは崩れ去った。 今日、このホテルで行われるオークションには各界の著名な資産家達が参加しているが、それらとはまた別の方面に名高い人物が目の前に現れたのだ。 畏怖すら含む視線を持ち上げれば、見た目麗しい三人の美少女が佇んでいる。 「こんにちわ、機動六課です」 なのは、フェイトと共に煌びやかなパーティードレスで完全武装。 プライベートでは女を捨てている我らが部隊長は、清楚な令嬢へと変身を遂げて、完璧な笑顔を作って見せたのだった。 機動六課。今回の任務は、このオークションの護衛である―――。 受付から少し離れたロビーの一角で、はやて達三人の隊長陣は一般参加者を装いながら会話を交わしていた。 「それじゃあ、オークションが始まるまでの間に営業済ませとこか」 「うん? 建物の下調べのことだよね」 はやての妙な物言いに、少々戸惑いながらもなのはが合わせた。 しかし、その返答にはやてはチッチッチッと指を振る。 「それもあるけど、メインは文字通りの<営業>やな」 「え、他に何かあるの?」 「この場にはあらゆる界隈の資産家が集まっとるんやで? しっかり愛想振り撒いて、各々のアイドル性をアピールして来ぃ! 接待営業や!」 「「ぇえ゛っ!?」」 サムズアップして衝撃の事実を告げた部隊長に対し、二人の隊長は顔を引き攣らせた。 なんという無茶な命令。なのはとフェイトの心境は、不落の要塞の攻略命令を下された少数部隊の指揮官に等しい。 「は、はやてちゃん……それ本気?」 「機動六課が実験部隊なのは十分理解しとるやろ? 色々目ぇ付けられとるし、まだまだ立場も安定せん。こういった場所で、有力な権力者に覚えを良くとしといて損はないよ」 「でも、そんなのどうすればいいか……」 「深く考えんでええよ、フェイトちゃん。普段通り、無自覚なセックスアピールで成金中年の視線を惹き付ければええんや」 「ナニいい笑顔で酷いこと言っちゃってるのはやてちゃん!?」 「無自覚……アピール……」 予想もしない親友の発言を受けて、ショックで放心するフェイトの代わりになのはが食って掛かる。 「確かにフェイトちゃんは子供の頃から露出癖があったけど、最近はソニックフォームも自重してるし、バリアジャケットのデザインも落ちついてるんだよ!? もう弾けてはいられない歳なんだよ!」 「露出癖……弾け……」 「いや、でももう染み付いたM属性は変えられんやろ? 実は局員の極秘アンケートで、人気ナンバー1なんやで。性的な意味で」 「えむ……性的……」 二人の親友が抱いていた自分へのイメージが次々と明かされ、どんどん精神的なドツボに落ちていくフェイト。 なのはが我に返って自分の発言を省みる頃には、仲良し三人組の中でも何かとワリを食うことが多い彼女はかつての暗黒時代を髣髴とさせる虚ろな表情を浮かべて何かブツブツ呟いていた。 慌ててフォローするなのはを無視して、はやてはあくまで世知辛い会話を進めていく。 「まず第一にスマイル。適当な相手見つけたら、軽く挨拶だけでもしとくんやで? ターゲットは夫婦連れ以外がええな。私らの顔はメディアで割れとるんやから、機動六課やってことを隠す必要はない。むしろガンガンアピールしとくんや!」 「まるでキャバクラだよ、はやてちゃん……」 「まあ、それに近いな。折角こんな肩丸出しの派手なドレス用意したんやから、有効に使うように」 「<何>を?」 「胸とか尻を。少しくらいセクハラされても騒いだらあかんで?」 「……ううっ、これも隊長の務めなんだね。スバルやティアナ達に、こんな辛い役割押し付けるわけにはいかないもんね」 涙を呑んで耐え忍びながら、なのはは大人の厳しさを受け入れていた。 華やかな魔法少女の活躍の裏側で展開されるドラマ。それがここにはある。 葛藤するなのはの肩を、虚ろな眼をしたフェイトが励ますように叩いた。 「なのは、耐えよう? 私も結構セクハラはされてきたけど、我慢出来たよ」 「って、フェイトちゃん本当にセクハラされてたの!?」 「二度目の執務官試験に落ちた時、試験官の人にホテルに誘われた時は本気でヤバイと思ったよ……フフッ」 「クソ! なんて時代だ……っ!」 「ごめん、フェイトちゃん。さっきの発言は迂闊やった。そんな管理局の裏話があったとは思わんかったわ」 そして、フェイトのダークサイドは意外と深かった。 なのははもちろん、はやてすらも大人としての汚れた階段を昇って成長した瞬間だった。 ―――やがてフェイトも普段の調子を取り戻し、ホテルに配置した副隊長達や新人達への指示を話し合う真面目な会話が続き、そして終わる頃。 「い、いらっしゃいませっ!!」 明らかに音量と緊張感を増した受付の声が、異様なほど広くロビーに響き渡った。 その声にはやて達が視線を移せば、受付の男はもとより、周囲の従業員が総立ちで整列して頭を下げている。 そして、そんな彼らの奇行に対しても、周囲のオークション参加客達は騒ぐこともせず、ただ息を呑んで沈黙するだけだった。 萎縮するような静寂と緊張の中心に立つ一人の男を、はやて達三人は捉える。 「本日は、当ホテルにお越しいただき、まことに……」 震えを隠せぬ声を必死に搾り出す従業員を、いっそ憐れに思えるほど全く気にも留めず、その男は受付を素通りした。 その後に付き従うように、二人の護衛が続く。いずれも女だった。 「あれは……」 「参加者の中でも一番の大物やね。今回のオークションでは、高価な私物も幾つか出品してるとか」 身に纏った純白のスーツと肩に引っ掛けるようにした羽織ったコート。いずれも惜しみなく金をかけた高級品だったが、それらはあくまで男を飾る物でしかない。 周囲の人間を萎縮させているものは彼の持つ権威であり、スーツを押し上げる屈強な肉体とその全身から立ち昇る圧倒的な<強者の威厳>であった。 「<アリウス>―――大企業ウロボロス社の経営者であり、管理局認可の単独魔導師でもある男や」 あらゆる意味での<力>を備えた、凶相とも言えるアリウスの顔を見据え、自然と強張った表情ではやては呟いた。 紛れも無い重要人物であり、このホテルの人間全ての護衛を任とする機動六課にとっても留意すべき人物である。 しかしその雰囲気や、周囲の人間を気にも留めていない不遜な態度も含めて、三人の彼への印象は共通して厳しいものとなっていた。 ロビーを横切るように歩みを進めるアリウスは、自然と三人の横をすれ違う形になる。 そこでようやく、前を見据えていた彼の視線が動いた。 「―――ほう」 アリウスの視線が捉えたのはフェイトだった。 しかし、それは決して友好的なものではない。 浮かべたのは文字通りの冷笑。向ける視線の意味は僅かな興味であり、同時にそれは人間に向けるようなものではなく、まるで珍しい動物に向けるそれであった。 「……何か?」 警戒と共に身構えたくなるような気分で、フェイトは硬い声を絞り出した。 「貴様は、<テスタロッサ>か」 「そう、ですが」 アリウスが何故<フェイト>でも<ハラオウン>でもなく、<テスタロッサ>というミドルネームを呼んだのか、三人にはその真意が分からなかった。 ただ、嘲るような口調は確実に悪意を孕んでいる。 「そうか、お前『も』か。初めて見たな。興味深い」 「……何の話でしょうか?」 「なぁに、少々気になったのだよ」 訝しげなフェイトの表情を楽しむように鑑賞しながら、アリウスは懐から葉巻を取り出した。 風紀の類が徹底管理されているミッドチルダではあまり見ない嗜好品の類だ。 それらの仕草が一連の流れであるように、背後に就いた護衛の一人が動いて、淀み無く火を付ける。ライターではなく指先から生み出した火種によって。 魔法だ。 三人の眼には、その何でもない魔法がやけに印象強く残った。 その服装から背格好まで全く同じで、顔の半分をやはり同じデザインの奇怪な仮面で隠した二人の護衛の異様さと共に。 「―――君と私の部下、どちらの<性能>が上なのかと思ってね」 背後の護衛二人からフェイトへ、意味ありげに視線を往復させてアリウスは愉快そうに呟いた。 結局、その真意を問い質す前に、物言いに不快感を露わにする三人を無視してアリウスはオークションの会場へと歩き去っていった。 「なんというか……あの人、わたしは少し苦手かな」 「素直に腹立つって言ってええよ。フェイトちゃん、大丈夫?」 「うん、気にしてないよ」 案じるはやてに対してフェイトは笑って答えて見せたが、好色な視線とは違うアリウスの瞳を思い出して、僅かに背筋が震えた。 あの男は、自分を―――。 「大物には違いないんやけどな、黒い噂も絶えん人物や。管理局でも、一度違法魔導師として逮捕命令が下ったことがあるそうやし……結局、誤認やったらしいけど」 「そんな地位の相手に逮捕段階まで行っておいて、誤認で終わったの?」 「少なくとも事件の記録は、証拠不十分と実際に動いた部隊の先走りで終結しとる」 「……変に勘繰りたくはないけど」 「やっぱり、裏で色々動いとるやろうなぁ」 金とか権力とか―――。 はやては言葉の後半を自重して飲み込んだ。どれほど黒に近くとも、実際に口にしていい相手ではない。 「まあ、いずれにせよ私らには色んな意味で遠い人物や。注意だけ払って、下手に近づかん方がええよ」 「そうだね」 資産家には色々な種類の人間がいる。それを理解する程度には、なのはもはやても社会での経験は積んできた。 不快感を義務感で押し留め、はやてとなのはは振り切るようにアリウスが去って行った方向から背を向けた。 ただ一人、フェイトだけがもう見えなくなったアリウスと二人の護衛の後ろ姿を見据え続けていた。 「気のせい、かな?」 なのはとはやてにも聞こえない小さな呟きは、僅かな疑念を含み。 本当に気のせいだったのだろうか。 あの時、アリウスと二人の護衛が自分の前を横切った時―――右手の傷が疼いたような気がした。 魔法少女リリカルなのはStylish 第十二話『Black Magic』 ホテル<アグスタ>の地下駐車場の奥には、参加者の車両からは離れてオークション用の商品を積んだ輸送車が並んでいた。 大小様々なサイズのコンテナを搬入口から運び込んでいく。 その中でも成人男性でも入れそうなほど一際巨大なコンテナを、作業員が開いていた。 ウロボロス社のロゴが刻印されたコンテナから引き出された物を見て、作業員の一人が思わず小さな悲鳴を上げた。 「何ビビってんだよ」 「だ、だってよ……」 「仕方ないさ。こんな薄気味悪い物までオークションにかけようなんてよ」 コンテナの中に納まっていた物―――それは人形だった。 小さく折り畳まれてコンテナに入っていたものの、両肩を吊って持ち上げれば、力なく垂れ下がった両脚を含めて2メートル以上の全長を持つ巨大な操り人形だ。 風化した枯れ木のような骨組みで構成され、その上にボロボロの衣装を纏った姿は確かに年代を感じさせるが、それ以上に生々しい気配を放っている。 まるで人骨で作られているかのように錯覚する全容は、薄暗い地下で見るにはあまりに不気味だった。 「ウロボロス社の会長の私物だろ? いい趣味してるよな」 「コイツはサンプルとして会場に持ってくらしいけどよ、実際には同じようなのを30体くらい出展するらしいぜ」 そう言ってトレーラーの中を指差した仲間に促されて覗き込めば、同じサイズのコンテナが10以上積み込まれていた。 それら全ての中に、この不気味な人形と同じ物が折り畳まれて入っていることを想像すると、全身が総毛立つ。 「こんな不気味な物、欲しがる変態がいるのかよ?」 「金持ちの考えることは庶民にゃ分からんね」 「おい、さっき別のトレーラーで同じウロボロス社のコンテナの搬入手伝ったけどよ、そっちも錆びた処刑刀だの染みだらけのボロ布だのがギッシリ詰まってたぜ」 「ホラー映画でも作ってるのかよ、あの会社は」 物が物だけに談笑といえるほど明るい雰囲気にもなれず、ぼやくように会話をしながら彼らは出展用のハンガーへ人形を固定していく。 言葉を絶やさないのは、彼らの無意識に巣食う不安と恐怖を表しているようだった。 馬鹿げたことだと冗談のように内心の思いを笑っても、考えずにはいられない。 雑談を止め、辺りに沈黙が戻れば、その懸念が現実のものとなりそうな不安を、彼らは消すことが出来なかった。 ふと、その人形の精巧に彫られた虚ろな顔を見てしまった瞬間に子供のような恐れが湧き上がる。 まるで、本当に今にも動き出しそうに思えて―――。 「オークション開始まで、あとどのくらい?」 《Three hours and twenty-seven minutes.(3時間27分です)》 バッグのアクセサリとして待機モードでぶら下がっていたバルディッシュの答えを聞き、フェイトはロビーの吹き抜けを見下ろした。 事前の構造図も含め、既に現場の下見はほとんど終わっている。 オークションの会場となるホールから始め、出入り口や裏口などへ続くルートを歩いて確認しながら、フェイトははやての言う<営業>もなんとかこなしていた。 すれ違う客に社交辞令のスマイルと挨拶を無料で振り撒いていく。 時折向けられる男性の好色を含んだ視線も慣れたものだった。 しかし、そういった視線を自覚する度にロビーで向けられた全く種類の違う好奇の視線を思い出す。 アリウスがフェイトに向けた視線の意味。 あの冷たくも粘度を持った視線の意味を察すれば、背筋に寒気が走り抜ける。 アレは、人を見る眼ではない。まるで芸術家の作品を鑑定するかのような瞳だった。 あの時あの男は、自分を人間として見ていなかった。 「ひょっとしたら、私の事を―――」 知っているのだろうか? この身が、純血の人間では無いと。 10年前に決着を着けたはずの『自分に対する不安』が思い出したように頭をもたげてくる。 それを不屈の精神で抑えようとして、故に気付かなかった。自身の根幹に根差すこの不安を消すことなど出来ないのだということを。 生まれた瞬間に定められた運命は、死ぬ瞬間まで消えはしない。 友情や決意の中で薄れていったその重みを、ふとした時に思い出すのは決して避けられないことなのだと、フェイトは認めることが出来なかった。 そうして、己の思考に没頭して歩くうちに人気の無いホテルの裏口まで着いてしまう。 我に返ったフェイトは慌てて意味もなく辺りを見回した。 「迷子かい、お嬢さん?」 まるで自分の動揺を見透かしたかのように唐突に声を掛けられて、フェイトは思わず背筋をピンと伸ばした。 何も後ろめたいことなど無い筈なのに無意識に恐る恐る振り返れば、男が一人立っている。 貴族然とした紫色のスーツとコートを来た姿は警備員などではない。表情も微笑を浮かべ、リラックスしている。 それらを確認して、フェイトは内心で安堵のため息を吐いていた。 「はい。オークションの会場に行きたいんですけど、迷ってしまって」 「それでこんな所まで? 方向音痴なお嬢さんだな」 淀みなく言い訳を口にして、男もまた嫌味の無い笑い方で答える。 好感の持てる穏やかな物腰に、フェイトも思わず微笑みを浮かべていた。 男の口調は若さを感じさせる軽快なものだったが、どこぞの貴公子とも思える秀麗な姿はギャップがあって、奇妙なユーモアを感じさせた。 見事な銀髪を後ろに撫で付け、左目に嵌めた片眼鏡(モノクル)は黙っていれば随分と年上の印象を与える。 あのアリウスとは全く違う意味で人の目を惹き付ける男だった。もちろん良い意味でだ。 「だが、こんな見た目麗しいお姫様を放ってはおけないな。アンタには、こんな人気の無い場所よりダンスホールの真ん中を陣取ってた方が似合ってる」 大げさなようでいて決してお世辞の意味など含んでいない台詞を吐き、男はダンスに誘うように手を差し出した。 「壁の花にするには勿体無いぜ。よければ、俺にエスコートさせてもらえないか? お嬢さん(レディ)」 そう言ってウィンクする男の仕草は芝居染みたものなのに、ビックリするほど様になっていた。 妖艶な色気すら感じる仕草と言葉を前に、フェイトは頬が熱くなるのを感じながらも、これまで出会ったことの無いタイプの相手に対して魅力を感じてしまう。 「―――宜しいですか、紳士さん(ジェントル)」 そしてこちらも全ての男を虜にしてしまいそうな蟲惑的な笑みを無自覚に浮かべると、そっと手を差し出した。 手と手が触れた瞬間、フェイトの持つ傷が一瞬疼いた。 しかし、そこに伴う痛みは苦痛などではなく、何処か甘美なものだと錯覚すらしてしまう。それを痛みだと気付かせないほどに。 そうして歩いていく浮世離れした美男美女の二人を、すれ違う者達全てが羨むように見ていた。 オークション会場となるホールを見渡していたはやてとなのはの下へ男連れで戻ってきたフェイトに対する二人の驚きは、もちろん大きかった。 「……え? 何コレ? え、職務中に男引っ掛けて来よったよこの娘。え、ナニソレ? それは出会いの無い私への当てつけ?」 「はやてちゃん、さりげなく錯乱しないで」 何故か予想以上のショックを受けるはやてをなのはが正気に戻し、改めて苦笑を浮かべるフェイトと傍らの男に向き合った。 「ええと、フェイトちゃん。こちらの方は?」 「『迷って』裏口まで行っちゃってたところを助けてもらったんだよ」 なのはに目配せして、フェイトは口裏を合わせる意図を伝えた。 別に<機動六課>であることを隠す必要はないが、客の中に溶け込んで護衛をする以上、必要以上に身分を明かすこともない。 何より、彼の自然と心を許してしまう気安い物腰が、何となく『仕事を挟んだ付き合いでいたくない』という気分にさせていた。 まるでリズムを感じるような男とのやりとりが、名前すら交わしていないことを気付かせないほど心地良いと思えるからかもしれない。 会釈するはやてとなのはを見つめ、男は感嘆のため息を漏らして頷いた。 「驚いたね、美人の友達はやっぱり美人ってワケだ」 「お上手ですね」 「生憎とお世辞は苦手でね。綺麗な女を褒める時は、本音で語るのが一番さ」 「そこまでストレートに言われたのは初めて、かな」 「オークションなんて辛気臭いもの止めて、ダンスパーティーにするべきだな。是非踊ってみたいね」 「場所さえ改めれば、わたしも喜んで」 男となのはの間でリズミカルに言葉が投げ交わされる。 なのはにとっては慣れた社交辞令なのに、何処か小気味のよい会話だった。 話す事が上手いのだろう。気障な台詞や比喩を嫌味無く言えて、しかもそれが似合ってしまう。ある種の才能を持った男なのだと思った。 フェイトが感じたものと同じ新鮮さを、なのはもまた感じている。 その一方で、こういった会話を一番テンション高く楽しみそうなはやては、出会った時からずっと沈黙を保ったまま男の顔を見つめていた。 「そちらのお嬢さん。俺があんまりいい男だからって、そんなに見つめるなよ。穴が空きそうだ」 「―――あのぉ、何処かで会ったことありませんか?」 「おっと、まさか女性の方から口説かれるとは思わなかったぜ」 ナンパの常套手段とも言える台詞に対して男は苦笑して見せたが、はやては真剣な眼差しのまま答えを待っていた。 それに気付いた男は肩を竦めると、首を横に振って返す。 「いいや。残念だが、アンタと会ったことは『無い』な」 「そうですか……いや、でも確かにこんなええ男と会ったんなら例え10年前でもしっかり覚えてるはずやしな」 「ハハッ、なかなか正直に言ってくれるじゃねえか」 「そしてもちろん、私みたいな美少女を見て、忘れるはずもないですしね?」 「ああ、全く同感だね」 神妙に頷く男とはやては再び視線を合わせ、やがて堪えられなくなったように二人して笑い出した。 やはり、二人のテンションの高さは奇妙なシンパシーを得るに至ったらしい。 酷く自然なこの組み合わせを、なのはとフェイトは苦笑しながら傍で見守っていた。 放っておけば、このまま四人で飲みにも行けそうな和気藹々とした雰囲気だったが、生憎とはやて達三人には職務がある。 「―――さて、このまま潤いのある会話を続けたいところだが、ちょいと野暮用があるんでね。オークションもそろそろ始まる時間だ」 それをまるで察しているかのように、男がキリのいい所で談笑を切り上げた。 「貴方もオークションに参加するんですか?」 「いや、付き人みたいなもんだな。会場にはいるつもりだが」 「うーん、贅沢な付き人やなぁ。その雇い主さんは、ええ趣味してますね」 「俺もこういうのは苦手なんだがね。オークションが終わったら、今度は私的な再会を是非望みたいな」 「私もです―――それじゃあ」 「ああ、またな」 今度は社交辞令などではない、僅かな名残惜しささえ見せて、フェイト達はその男と別れた。 気が付けばお互いの名前さえ知らなかった。 それを後悔しながらも、切欠を思い出せば別段不思議ではないささやかな出会い。 しかし、それは三人にとってやけに印象に残る出会いだった。 知らぬうちに、三人が同じ再会を願う程に。 そしてそれは、すぐに現実の事となる。 三人の美女と別れたダンテは、この不本意な依頼に対して少しだけやる気を取り戻していた。 ホテルを徘徊する人間は、やはりダンテにとってあまり好かないタイプの成金ばかりだったが、幾つか気に入ったこともある。 まず第一に、レナードの用意した<仕事着>だった。 紫を貴重とした貴族のような服は彼の好むロックなデザインとは程遠かったが、黒だの白だののタキシードなどよりはるかにマシだ。コートのデザインも悪くない。 レナードに言わせれば、これでも仮装パーティーさながらの派手な格好らしいが、それを着こなすセンスと自負がダンテにはあった。 第二に、なかなか魅力的な出会いがあったことだ。 間違っても深窓の令嬢が訪れるはずもない俗物の集いだと思っていただけに、裏口で美麗な女性と遭遇した時は一瞬何かの罠かと錯覚するほどの衝撃を受けた。 思わず声を掛けて、建物の下見をしてこんな人気の無い場所を徘徊していた自分は随分怪しいのではないかと我に返った時にはもう遅い。 迷子のふりでもするか? と悩む傍で相手が似たような返答を返す。 自分のことを棚に上げて、そんな彼女がまともな令嬢などではないのだろうと疑ったが、しかしそれこそダンテにとってはどうでもいいことだった。 若い女。しかもそれが類稀なる美人となったら、無条件で味方をするのが男というものだ。 女性としては高い身長に、プロポーションもバッチリ。何より、あの長い髪がいい。金髪(ブロンド)は好みだ。 そんな彼女と連れ立って向かった先でも更に二人の美女と出会えた。 今回は珍しくワリの良い仕事ではないか? あのケチな情報屋の手引きを柄にもなく感謝してしまいそうになる。 そして何より、第三に―――。 「退屈な時間になるかと思ったが、なかなかどうして……胸糞悪い空気が漂ってるぜ」 ダンテの持つ第六感が、慣れ親しんだ警鐘を鳴らしていた。 ロビーのシャンデリアと窓からの太陽光が明るく照らし、穏やかな静寂が満ちるこのホテルで、おおよそ想像もつかないような悪夢が生まれることを予見できる。 この場にいる人間達の中でただ一人、ダンテだけがそれを感じていた。 このホテルに潜む、複数の<悪魔>が放つ微細な気配を。 「観客が多すぎるな。派手なダンスパーティーになりそうだ……」 確信にも近い、地獄の幕開けを予感しながら、それをただぼんやりと幻視するだけで留める。 自分は預言者ではない。勘だけで危険を予感し、それをあらかじめ警告したところで執りあう者などいるだろうか? <悪魔>などと騒ぐだけで狂人を見るような眼を向けるのだ。 人間は自分の理解の及ばないものを受け入れようとしない。見ることすら耐えられず、知ることにも恐怖する。 ならば、彼らが<悪魔>の存在を認める時は現実にそれが降り立った時だけなのだ。 ダンテは自分か、あるいはそれ以外かを嘲笑するように鼻を鳴らし、静かにオークション開始直前となった会場へと足を踏み入れて行った。 最後の参加者の入室を確認し、静かにホールへのドアが閉まっていく。 やがて、最後の扉が閉まり―――舞台開始の合図が鳴った。 人口の密集する喧騒を避け、豊かな自然の中に建てられたホテル<アグスタ>は周辺を森林に囲まれている。 車の通りが少ない車道を越えて、ホテルの一角を僅かに見上げられる程離れた場所に、その三人は佇んでいた。 「あそこか……」 「本当に、手を貸すの?」 一際大柄で服の上からでもその屈強な肉体が分かる男と、その男ほどではないにしろ長身で美しく若い女。そして、額に刻印を刻まれた少女。 親子とも連れ合いとも思えない奇妙な三人組が、人気の無い森の中で息を潜めるようにフードを被ってホテルの様子を伺う姿もまた奇妙極まりない。 「アナタの探し物は、ここには無いんでしょう?」 男と同じ鋭い視線を目的の場所へ向けていた女は、自分の左手を掴む小さな少女へ柔らかく問い掛ける。 少女はフードを取り、女を見上げて小さく頷いた。 悲しいことに、無垢なその顔にはおおよそ表情と呼べるものが浮かばない。 少女が年相応の反応を失って長い。少なくとも、その女の知る限りは。 「ゼスト」 気を取り直すように、女は傍らの男の名を呼んだ。 心得たようにゼストは頷く。 「ルーテシアは、何か気になるらしい。この子の感性は独特だ。無視は出来ない」 不満げな女を宥めるように説明すれば、合わせて少女―――ルーテシアもまたもう一度頷いて見せる。 目元をフードで、口元を襟で隠した女は、小さなため息で自身の納得と諦めを表現した。 「―――ルーテシアが自発的に動きたいなら、構わない。いくらでも付き合う。 でも、今回の事にあのマッドサイエンティストの余計な入れ知恵や小ズルイ催促はなかったの?」 「それは……」 自然と剣呑になる女の問いに答えようとゼストが口を開いた時、丁度話題の中心となる人物から通信が繋がった。 三人の眼前にホログラムのモニターが出現し、そこに映った人物を見て、少なくとも二人が不快感と警戒を露わにする。 一方は厳つい顔を更に引き締め、もう一方は柳眉を鋭く吊り上げることで。 『ごきげんよう。騎士ゼスト、ルーテシア、そして―――』 通信先の人間―――スカリエッティが自分の名前を呼ぶ前に、女は無言で顔を背け、背まで向けた。 拒絶を超えた敵意故にであった。 取り付くしまもない仕草に、スカリエッティは愉快そうに忍び笑いを漏らす。 「ごきげんよう」 「何の用だ?」 相手にもしない一人に代わって、残りの二人が抑揚の無い声と素っ気の無い声で応える。 『彼女も君も冷たいねぇ。随分と嫌われてしまったものだ』 「さっさと用件を言え。その彼女の機嫌はお前の話が長引く度に悪くなっていく。モニター越しに斬られたくはないだろう」 『ははっ、本当に在り得そうで恐ろしいなぁ』 この不穏な会話を、スカリエッティだけが純粋に楽しんでいた。 苛立ちも悪態も見せず、全くの無反応を貫く女の背中を一瞥して、彼はようやく観念したかのように本題を切り出した。 『事前の打ち合わせ通り―――そろそろ行動開始の時間だ』 意味深げなスカリエッティの台詞を聞き、ゼストはもう一度ホテルに視線を向けた。 変わらぬ姿で、そこは静寂を保っている。 「もうホテルの襲撃は始まっているのか?」 『確認は出来ないが<彼>はもう内部に入っているし、今は丁度オークション開始予定時間だ』 「協力する相手と連絡すらまともに出来ていないのか」 『<あの男>とはあくまで利害関係による繋がりだからねぇ。申し訳ないが、今回我々は受身だ。 内部で動きがあると同時に、こちらもガジェットを向かわせる。後は―――分かるね? ルーテシア』 「うん、分かった」 『良い子だ』 自分ではなく、あくまでルーテシアに話を振って了承を得ようとするスカリエッティの小賢しさに、ゼストは不快感を隠せなかった。 この男は、ルーテシアの意見を自分と彼女が無碍に出来ないことを理解して、そこに漬け込んでくる。 何よりも厄介なのは、このどれほど疑っても足りない胡散臭さを形にしたような狂人を、ルーテシアが意外と好ましく思っているという事だった。 今のゼストが抱く感情は、娘が軽薄な男と付き合いながらもそれを説得して止める術を知らない親が持つ苛立ちに酷似している。 そして、そこに殺意を加えたものが、背後の彼女がスカリエッティに抱く感情だ。 「……今回は特別だ。現場にも近づかない。 我々とは、レリックが絡まぬかぎり互いに不可侵を守ると決めたことを忘れるな」 せめてもの抵抗として、ゼストはモニターの先の薄ら笑いを睨みつけながら釘を刺した。 『ああ、もちろんだとも。それを踏まえて、ルーテシアの優しさには深く感謝しよう。 ありがとう。今度是非、お茶とお菓子でも奢らせてくれ。もちろん、他の二人も―――』 「話は終わりだ。消えろ」 高速の一閃が、文字通りスカリエッティの台詞を途中で寸断した。 空中に照射されていたホログラムを、電子的な手順を踏まずに鋼の一撃によって真っ二つに切り裂く。モニターを形成していた粒子が霧散し、通信は『消滅』した。 ルーテシアでなければゼストの仕業でもない。 思わず二人が振り返れば、そこには変わらず背を向けたまま佇む女の姿がある。 一体、何をどうやったのかは分からない。しかし、会話を切り上げた冷たい声は間違いなく彼女のものだった。 「……<ルシア>」 僅かに咎めるような感情を含み、ルーテシアは彼女の名前を呼んだ。 ルシアは苛立ちに任せるように、フードを取り払う。 そして美しい肉体に吊り合った美貌が姿を現した。 燃えるような赤い髪を一房の三つ編みにして肩から前へ垂らし、褐色の肌を持つしなやかな女戦士は、少女の抗議に対して小さく鼻を鳴らして見せる。 「いつまでも長々と話してるからよ。あの男の会話の7割は無駄話なんだから」 「だからって斬らないで。<アスクレピオス>の通信機能が壊れる」 「ゴメンなさい。でも、アナタの為でもあるのよ」 「わたしは、ドクターとお話しするの、そんなに嫌いじゃないから」 「ああ、ルーテシア。アナタの男の趣味だけが将来の不安だわ」 「どういうこと?」 決して穏やかではないが、ルシアのルーテシアに対する態度は先ほどのスカリエッティに対するそれと比べて全然柔らかい。 まるで妹に接する世話焼きの姉のようだ。 事実、ゼストの知る限り二人の関係は<姉妹>が一番近い表現であった。 普段は女である前に戦士であろうとするルシアの物腰の変化も、これでは苦笑を浮かべずにはいられない。 険悪なやりとりの後で、束の間穏やかな空気が三人の間に流れていた。 「……それじゃあ、そろそろ始める」 しかし穏やかな時間はすぐに終わり、憂鬱な時間が始まる。 少なくともゼストとルシアにとって、この少女が自らが行おうとしている所業に何の感慨も感じないまま闇に手を染めるのは憂鬱以外のなにものでもない。 コートを脱いだルーテシアは両腕のグローブ型デバイス<アスクレピオス>を起動させる。 「吾は乞う、小さき者―――<群れる者>」 ルーテシアの囁く詠唱に呼応して、足元に闇が生まれた。 それは比喩などではなく、滲むように広がる虚ろな黒い染みだった。 ベルカ式でもミッドチルダ式でもない。はっきりとした術式すらなく、故に魔方陣さえ発生しない。魔法の<行使>というより<現象>のような出来事。 文字通りの<黒い魔法>は、人におぞましさを与える光景を、少女を中心にして繰り広げる。 「言の葉に応え、我が命を果たせ。召喚―――」 ルーテシアを中心に広がった、暗黒の湖畔から湧き出るように奇妙な煙が立ち昇った。 目を凝らせば、それらが微細な黒い粒の集合によって形成された煙だった。 「<スケアクロウ>」 そして、その粒の一つ一つが肉眼ではハッキリと確認出来ないほど小さな未知の甲虫であった。 無数の虫が群れ、煙や霧としか認識できない黒い塊となって甲虫は動き始める。 地を這い、空を舞い、何かが擦れるような無数の奇怪な音を波立ててソレは移動していった。 真っ直ぐに、ルーテシアの視線の先―――ホテル<アグスタ>へと向けて。 「……ゼスト。ルーテシアをお願い」 人が扱ってはならない禁忌の魔法を目にしていた二人のうち、おもむろにルシアが告げた。 口元を隠し、再びフードを被り直して、トランス状態で魔法を行使するルーテシアの横顔を一瞥する。 その視線には、先ほどまでの純粋な暖かさは無い。複雑な迷いを含んだ感情が渦巻いていた。 「行くのか」 「戦闘の混乱の中で目標物を奪うのが目的なら、戦いは見せかけだけでいい。人死には極力避けたい」 「そうだな……会場内部には手を出すな。そこから先は、警備と運に任せておけ」 「私もそこまで善人じゃない」 ルシアは剣呑な視線と冷笑を浮かべて見せた。 しかし、彼女の心に冷酷な犯罪者とは無縁な正義の心と見知らぬ他人であってもその死を悼む優しさがあることを、ゼストは知っている。 そして何よりルシアとゼストの二人には、幼いルーテシアが無自覚に人を傷つけ、殺すことを防ぎたいという意思があった。 彼女が呼び出し、使役する存在は嬉々として人の命を飲み込むのだ。 奴らが生み出す闇に、何も知らぬ少女まで引き摺り込ませるわけにはいかない。 いずれ彼女が本当の人生を取り戻し、自らの罪を自覚した時に、その重みが少しでも軽くなるように。 「それに―――」 言い淀み、ルシアはルーテシアの足元に広がる闇の世界へと繋がる扉を見下ろした。 「私にとって、やっぱり<悪魔>は敵だ」 完全な敵意を吐き出して、ルシアは走り去っていった。 戦場となる場所へ駆けつける戦士の背中をゼストはいつまでも見送り続ける。 ルシアとは別に、彼の中にも複雑な想いが宿っていた。 ルーテシアとルシアも含む、娘同然に想う二人の少女が歩む不遇の人生とその将来を案ずる気持ちだった。 <悪魔>と縁を結んでしまった少女と、その<悪魔>を憎む少女。いずれも闇に関わりを持ってしまった故に平穏な日々から抜け落ちてしまった。 若い彼女達には未来がある。 しかし、その輝かしい未来に、もはや既に黒い染みは付きつつあるのだ。 全てをリセットして普通の人生をやり直すなんてもう出来ない。今後の人生で引き摺っていかねばならない経験を、二人の少女はしてしまった。 それが痛ましくてならない。かつて、そんな人の未来を守る為に自分は戦っていたというのに―――。 「所詮、私は悪魔に魂を売った死人か」 無力な己を嘲りながらも、ゼストは祈らずにはいられなかった。 「……神よ。願わくば、地獄に落とすのは私だけにしてくれ」 全ての罰は魂を抜かれたこの身に。 彼女達にせめて未来を返してくれたのなら、この生ける屍は喜んで地獄に落ちよう。 彼女達の人生を狂わせた闇の住人達を共に引きずり込み、本来在るべき場所へ再び封じてやる。 戦士の悲壮な覚悟を嘲笑うように、視線の先にあるホテルからは黒煙が上がり始めていた。 地獄が始まる。 『お待たせいたしました。それでは、オークションを開催いたします』 開始を告げるアナウンスは予定していた時間通りに流れていた。 客席から起こる拍手の中、二階からホールを一望しているなのはとフェイトは思わず安堵のため息を吐き出す。 警備はオークションが終了するまで続くが、とりあえず事前に問題が起こることはなかったのだ。 警戒していた何らかの襲撃の可能性が一つ減ったことは彼女達の緊張の糸を一本解してくれた。 「とりあえず、出だしは順調だね」 「このまま、何事も無く終わればいいけど」 なのはの安堵にフェイトが水を差すように告げたが、その声に張り詰めたものはない。 元より確定した襲撃の可能性や、列車襲撃時のような現在進行形の緊迫感はない任務なのだ。 油断は無くとも、二人には余裕があった。 『―――ではここで、品物の鑑定と解説をしてくださる若き考古学者を紹介したいと思います』 なのはとフェイトが見守る中、会場に設けられたステージに一人の青年が登場する。 その青年の姿を見て、二人は思わず目を白黒させた。 『ミッドチルダ考古学士会の学士であり、かの無限書庫の司書長―――ユーノ=スクライア先生です!』 万雷の拍手を浴びてステージに現れたのは、二人にとって幼馴染であり親友でもある人物だった。 意外な場所での再会に、なのはもフェイトも言葉を失う。 停止した思考の代わりに感情がまず何よりも純粋な喜びを湧かせてくれた。 「ユーノ君……」 「なのは、この事聞いてた?」 「ううん、初めて知ったよ」 なのはの声には隠せない喜びと高揚がある。 お互い、昔のように簡単に会えるほど自分の立場は軽くはない。 結んだ絆は切れはしないが、それでも少しずつ距離は開いていくような気がして、そのことに諦めも感じ始めていた。 六課の発足で忙しくもなり、そんな寂しささえ忘れかけていた時に、このサプライズだ。 もちろん仕事のことは忘れない。でも仕事が終わったら? 別にちょっと話したり、食事の約束をつけるくらいはいいんじゃない? 珍しく興奮する親友を見て、フェイトは苦笑した。 「今日は久しぶりに四人で話せそうだね」 「うんっ。はやてちゃんも、早く戻ってくればいいのに」 「配置の指示、遅れてるのかな?」 ホールの外で、現場のシャマルやオペレーター達と情報を確認し合っているはずのはやてを思い出す。 出入り口を一瞥すれば、そこはまだ閉ざされたまま誰も訪れることはなかった。 そうしているうちに、ユーノらしい堅実で当たり障りのないスピーチは終わり、いよいよオークションが始まる。 『まずは出展ナンバー1とナンバー2の商品。かの有名なウロボロス社のアリウス氏から提供された由緒ある逸品です』 司会の言葉と共にステージの奥から防護ガラスのケースに納められた品物が運び込まれ、ホールに客のどよめきが低く流れた。 それは感嘆と―――畏怖によるものだった。 「なんだか……少し気味の悪い品だね」 「うん」 なのはの呟きは、客のほとんどが感じている感想の一部を端的に言い表していた。 ステージに運び込まれた品物は、いずれも歴史と風格を感じる、古い一本の剣と一体の人形だった。 絡み合う蛇の装飾が施された異常に長い剣も人を殺める武器としての不気味な迫力を放っていたが、何より人形の方が一際異様だった。 実際は木製のようだが、表面に滲んだ得体の知れない染みと着せられた血のように赤い衣服。そして虚ろな空洞を瞳にした顔が、無機物に生気を宿らせている。 ハンガーに固定されたその姿は、磔にされた罪人の遺体を連想させた。 薄ら寒い不安を感じさせる様は、確かに見る者によっては骨董品としての意趣を感じさせるかもしれない。 しかし、少なくともなのはとフェイトにとって、その人形は悪趣味を超えた怖気を感じるものだった。 『……これは、かなり見事な品物ですね。少なくとも、経過している年月はかなり古い物です』 ユーノもまたその違和感を感じたらしい。 しかしもちろん、アリウス本人が何処かにいるはずのこの場で下手な発言はせず、鑑定に集中している。 『こちらの剣は柄に銘が掘られています。名前は<マーシレス> 材質はほとんどが鉄のはずですが、不思議なことに刀身などに劣化が見られません。 しかし、魔力反応もほとんど無く、武器としては極めて原始的な―――』 ガシャン。唐突に、ユーノの言葉を遮る音が響いた。 その音の発生源を、誰もが正確に見つけることが出来た―――人形の入ったケースだ。 小狭いケースの中で、文字通り崩れ落ちるように人形がハンガーから外れ、関節を奇怪な方向へ曲げて蹲るように倒れていた。 「お、おい! 何してるんだ、早く元に戻せ!」 オークションの流れを寸断するに足る思わぬ失態に、ステージの脇に控えていた作業員は顔を青くして動き出した。 自分達にミスはない。しっかりと固定したはずだ。そんな不可解な思いを分かりやすく表情にしながら、数人が慌ててステージの中心へ駆け込んでくる。 誰もがユーノの解説に聞き入って視線を剣の方へ集中させていた為に、誰もが気づくことはなかった。 枯れ木のような見た目通りの軽い重量では決して起こり得ない、その人形がハンガーの固定から外れて倒れた原因に。 「痛っ」 フェイトの手に痛みが走る。一瞬だけ。右手に。 広げた手のひらに視線を落としたフェイトは目を見開いた。 古傷を覆い隠す白い手袋から、ゆっくりと広がるよう赤い染み。滲み出るそれが血ではなく、黒い闇のように錯覚する。 慣れ親しんだ痛みが、フェイトの脳裏に激しく警鐘をかき鳴らした。 これが意味するものは―――。 「……っ! 全員その人形から離れろォ!!」 全力で不吉を告げる勘のまま、フェイトが絶叫した。 惨劇の始まりを目にしたかのような切迫した叫びに、誰もが驚き、身を竦ませ、声の方向へ視線を走らせて―――皆が本来注意を向けるべき存在を理解していなかった。 《GYYYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA―――!!》 甲高い悲鳴が、その場にいる人間全ての鼓膜と精神を揺るがした。 それは確かに<悲鳴>に違いなかった。 生きた人間が上げるようなものではない。この世の生きる者全てを妬み、恨む、あるいは<悪霊>と呼べるような者達なら上げられるような呪われた叫びだった。 その声の発生源を囲ったガラスケースは激しく振動し、やがて耐え切れずに内部から破裂して無数の破片を客席にぶち撒ける。 客が降り注ぐガラス片に悲鳴を上げる中、自由になったソイツはゆっくりと起き上がった。 ―――糸の無い操り人形(マリオネット)が、見えない生命の糸に吊り上げられるように。 「こ、これは……?」 「ユーノ、ソレから離れてっ!!」 誰もが逃げることすら出来ずに硬直する中、全力で自身に働きかける危機回避本能に従って後退るユーノと、それ以上の意志の強さでフェイトが動いた。 二階の客席から一階まで飛び出し、持ち前の運動神経で無理なく着地を決めると、ステージに向かって一直線に駆けつける。 デバイスの補佐なくしては追随出来ない彼女の動きを、なのはは一瞬見送ることしか出来なかった。 ドレスの裾を振り乱すのも構わずフェイトは駆ける。 少なくとも人間以外の生命と意思が宿った人形は、自力ではない何者かに操られるような不自然な動きで歩みを開始した。 その不幸な行き先には、ユーノがいる。 フェイト以外の誰もが、ホラー映画の中の人物のように目の前で惨劇が起ころうとしながらも凍りついたように動けなかった。 画面越しの演出された恐怖とは違う現実の恐怖が、彼らの心を鷲掴んで動くことを許さないのだ。 「フェイトちゃん! ユーノ君ッ!!」 なのはには身を乗り出し、何かに祈ることしか出来なかった。 ユーノの眼前で人形は懐から錆びた短剣を取り出し、虚ろな殺意を持ってそれを振り上げた。 怨嗟の雄叫びも、狂気を含んだ哄笑も無く、ただ無機質に殺人が行われようとしている。 それを止められる者はいなかった。 ただ一人、フェイトを除いて。 「ユーノォ!」 美しいだけではない力を秘めた俊足で、フェイトはその致命的な瞬間に間に合った。 ステージに駆け上がり、短剣が振り下ろされる瞬間にユーノを押し倒すようにしてその場から離す。間一髪、その空間を錆びた刀身が空しく切り裂いた。 「フェイト!? どうしてここに……っ!」 「話は後! 奥に下がって、すぐに逃げて!!」 唐突な再会を驚く暇すら与えず、フェイトは立ち上がって再びこちらへ視線を向ける人形を睨み付けた。 先ほどと異なる点は、その人形がユーノではなくフェイトに狙いを変えたことだった。 「バルディッシュ、セット……ッ!?」 すぐさま戦闘体勢を整えようとデバイスに呼びかけるフェイトの声を、またもやあの呪われた声が遮った。 人間を模した人形の口が開き、その奥からおぞましい音が響き渡る。それは口というよりも蓋や扉が開くようなイメージを抱かせた。 耳を覆いたくなるような奇声がフェイトの鼓膜を震わせ、脳が揺れ、背筋に悪寒が走り抜けて気分が悪くなり―――そしてようやく気付いた。 「か、体が……動かないっ!?」 見えない糸のようなものが全身に絡みつき、体の自由を奪っているのが感じられた。 強張る筋肉とは裏腹に激しい脱力感が襲い、フェイトは空中へ吊り上げられる。 まるで自分が操り人形になってしまったかのように錯覚する。自分の意思では全く体が動かせない。 バインドとも違う未知の金縛りに陥ったフェイトは、短剣を振り上げる人形を睨みつけることしか出来なかった。 人形の顔の空洞に宿った、血のように赤い眼光を必死で睨み返す。 親友の危機に、ユーノが硬直した体の戒めを破壊して、なのはがデバイスを発動させながら飛び出す。 しかし、そのどれもが間に合わない。 無慈悲な刀身は振り下ろされ、白い肌が鮮血に染まる未来が確定しかかった時―――その男は間に合った。 「ィィイヤッッハァァァーーーッ!!」 景気付けるような雄叫びと共に人間ロケットが飛来した。 ユーノの防御魔法よりも、なのはの攻撃魔法よりも速く、彗星の如く飛び込んできた第三者の両脚がフェイトを襲う人形を吹き飛ばす。 硬いブーツの靴底を顔面に直撃させ、ステージの壁に激突した人形は、関節を滅茶苦茶な方向へ曲げて崩れ落ちた。 すぐ傍で呆然としていた司会者がようやく我に返り、奇声を上げて後退る。 誰もが息を呑んだ惨劇の中へ乱入した―――プロのリングでも通用するような華麗なドロップキックを決めた男は、その場の視線を全て受けながら立ち上がる。 「ア、アナタは……」 人形が倒れると同時に金縛りから解放されたフェイトは、酷く覚えのあるその長身を見上げた。 紫色のコートが翻る。 振り返った男の顔には、悪夢に迷い込んだのではなく自ら飛び込んでみせた自信と戦意が滾っていた。 男は笑った。初めてフェイトに会った時、彼女に見せたように。 「―――よお、ベイビー。また会ったな。これだけ短い時間で再会出来たんだ、こいつは運命だと思っても構わないだろ?」 冗談交じりにそう言って、ダンテは不敵に笑った。 「綺麗なだけじゃなくガッツもある。いいね、ますます好みだ」 「……っ! 逃げて!」 「そういう無粋な台詞は釣れないぜ」 再び緊迫感に満ちた視線を自分の背後に向けるフェイトを苦笑して、ダンテは振り返りもせず、背後に向けて魔力弾を撃ち放った。 コートの裏から滑るように抜き放たれたデバイスは、立ち上がろうとする人形の顔面を正確無比に捉えて、一撃で顔面を吹き飛ばす。 頭を失った人形は支えを失ったかのように文字通り崩れ落ちてバラバラになった。 「銃型の、デバイス……」 「怪我は無いみたいだな。そっちの先生も大丈夫かい?」 「え? ええ、大丈夫です」 余裕すら持って、呆気にとられるフェイトとユーノをダンテは気遣っていた。背後で消滅する人形の残骸になど目もくれない。 バリアジャケットを纏って援護しようとしたなのはも、ただ呆然としていた客も、誰もがこの突然現れた謎の男を見ることしか出来なかった。 奇妙な静寂に包まれるホールを、ダンテはステージから一通り見回す。 何かを探るようなその視線を訝しげに思いながら、フェイトは意を決して話しかけた。 「あの……」 「助けた礼なら後でいいぜ。半分は仕事で、半分は俺のポリシーさ」 女性には優しくな。 悪戯っぽくウィンクしてみせる仕草に性的な魅力を感じて、フェイトは思わず頬を赤らめた。感情とは関係ない、若い女ゆえの反応だ。 しかし、管理局員としてこの疑問を蔑ろにするわけにはいかない。 「アナタは、何者なんですか?」 「そう、いい男にはそういう質問をするのがいいぜ。だが、自己紹介は後回しだ」 ダンテは軽口を叩きながらも、もう片方の手で二挺目のデバイスを取り出した。 既に、その眼光は穏やかさを失い、鋭い戦士のそれへと変貌している。 その意味を理解したフェイトが、同じく警戒を露わにして周囲を睨み付けた。 いつの間にか再び感じる右手の痛み。 「―――来るぞ」 ダンテの呟きがまるで予言であったかのように、異変は起こった。 誰もが予兆を感じることが出来た。 全身に覚える未知の悪寒。人間の持つ本能的な恐怖は彼らに警告し、そしてそれが全くの無駄であるかのように退路は塞がれる。 ホールから外部に繋がる全ての扉を覆うように、真紅の結界が発生した。 表面に幾つもの苦悶の表情を浮かび上がらせたその壁は、呪いのように扉が開くことを封じる。 もはや誰一人としてこの場から逃げ出すことが出来ないという現実を人々が理解するのは少し後の話。 ダンテ以外の誰もが閉じ込められたことすら気付かない閉鎖空間の中で、次々と悪夢が具現化し始めた。 ホールの各所で悲鳴が上がる。 そこへ視線を走らせれば、見たことも無い魔方陣が発生し、それを<穴>として先ほどの操り人形と同種の存在が次々と現れ出始めていた。 「これは召喚!? それとも、違うの……!?」 未知の現象に戸惑うなのはは、それでも事態の把握だけは正確に行っていた。 あの人形は全てが間違いなく敵だ。 標的はユーノ? フェイト? それともこの場にいる人間全て? いずれにせよ最悪の事態が始まりつつあった。混乱し始める多くの客を一望し、それら全てを守りきることへの絶望感が湧き上がる。 やらなければ。だが、出来るのか―――? 「そこの勇ましいお嬢さんは、このホテルの護衛に来てるっていう時空管理局の人間か?」 戦う意思を固めたなのはを、この場では不釣合いなほど気安い声が呼んだ。 視線を走らせれば、既視感を感じさせる珍しい二挺拳銃のデバイスを持ったあの男が不敵な笑みを浮かべたまま悪夢の発現を見据えていた。 「そ、そうですけど」 「なら客の護衛を頼むぜ。避難誘導はやめとけ、あの人形どもを倒さない限り、もうここからは誰も出られない」 「アナタは一体……」 「質問には、このバカ騒ぎが終わったらプライベートなことも含めて答えてやるよ」 彼は昂然と<敵>を睨み付けた。 その両手が華麗な舞を見せ、二挺の銃が優雅に、優美に宙を踊り狂う。 悪魔が取り憑いたかのような人形の群れと人々の阿鼻叫喚。その狂ったステージで、彼のパフォーマンスは驚くほど冴え渡っていた。 なのはが、フェイトが、ユーノが―――その場で冷静な者全てが、場違いな光景に釘付けになった。 回転する銃身が上質なタップダンスのように彼の周囲を跳ね回る様。 なのはの脳裏に連想して浮かぶものがあった。 「……ティアナ?」 信じ難い呟きは誰にも聞こえず消えていく。 壮絶な銃の舞はクロスしたダンテの腕の中で終了した。 「子供の頃から古臭い人形劇ってのは嫌いでね。どうせ見るなら爽快なアクション映画だ。そうだろ?」 誰にとも無く軽口を叩くダンテの元へ、ステージの裏からも複数の人形がにじり寄って来た。 最初の人形と同じように、搬入されたコンテナの中に居たモノが自ら動き出したのだ。 なのは達が四方八方に警戒を走らせる中、悪夢の出現は止まり、悲鳴を上げる人々を囲い込むように悪夢の出演者が入場を終える。 地獄の舞台は整った。 その中心に立つ男が告げる。 「さあ、始めるとしようぜ」 「……アナタは、魔法が使えるんですね?」 その男の正体を後回しにして、今はこの事態を共に切り抜ける為に戦いの意思を確認するフェイトへ、ダンテは鼻で笑って見せる。 「―――魔法だって? ハッハァ、銃(こいつ)を喰らいな!!」 周囲の<悪魔>どもに向けて、ダンテはいつものように銃をぶっ放した。 to be continued…> <ダンテの悪魔解説コーナー> マリオネット(DMC1に登場) 綺麗な人形に悪霊が宿って動き出したなんて話は良くあるよな? 殺人鬼の魂が宿った人形のホラー映画まであるくらいだ、人の形をした物に何かの自我が乗り移るという概念は珍しくはない。 だからこそ、人は分かりやすく恐怖する。そんな負の感情を利用しようと人形を媒介にして現れたのがこの悪魔だ。 悪魔狩人としちゃ、相手にする弾丸も勿体無い雑魚中の雑魚だ。誰もが考えるからこそありふれた悪魔だと言える。 その名のとおり外部からの力で操る仕組みのせいか、人形自体の耐久力も媒介になった物そのままだ。ちょいと手荒に扱えばすぐにぶっ壊れちまう。 ただし、その非力を補う為か短剣や銃まで使って戦い方を工夫する賢い奴も中にはいやがる。ありふれているからこそ、時代に合わせる柔軟性もあるってワケか。 そして、中でも<ブラッディマリー>と呼ばれる、自分の服を襲った人間の血で染めた赤い人形は曲者だ。 黒魔術などでも用いられる通り、血液ってのは魔力や呪いを秘めている。 その忌まわしい力が、人形に宿った悪魔まで強化しちまうんだ。人間の負の部分を力にする悪魔ってのは、やはり胸糞の悪い存在だぜ。 殺された人間も、勝手に乗っ取られた人形も、これじゃあ浮かばれない。 徹底的に破壊してこの世から消滅させてやるのが、そいつらにくれてやれる手向けって奴だろう。 [[前へ なのはStylish11話]] [[目次へ 魔法少女リリカルなのはStylish氏]] [[次へ なのはStylish13話]]
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このSSを、リリカル遊戯王GX氏に捧ぐ。 リリカル遊戯王GX番外編 「最強! 華麗! 究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)~前編~」 古代エジプトには、「三幻神」と呼ばれる精霊がいた。 「オシリスの天空竜」、「オベリスクの巨神兵」、「ラーの翼神竜」の3体である。 無論、歴史に名を連ねる強力な精霊・魔物は、何もその3体だけではない。 ファラオの守護者たる「幻想の魔術師」しかり、王宮の守護神たる「エクゾディア」しかりである。 そして、純白の鱗と青き瞳を有した幻獣――「白き龍」もまた、しかり。 ――ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーッ!!! 耳をつんざく咆哮に、スバルは身を震わせる。 動けなかった。 何がそうさせるのか。思い当たる要素はいくらかあるが、それすらも動機としては不十分だった。 要するに、空気なのだ。 目の前の「それ」がまとう空気が、過去に味わったことのない根源的な恐怖となって、スバルの身に降り注いだ。 横に立つ相棒のティアナが、その場にへたり込む。 向けられたのは、圧倒的なまでの存在感と、冷徹なまでの殺意。 それら全てが恐怖という形で、彼女らの全身に満ちてゆく。 上空を見た。 「それ」と対峙するのは、管理局の2人のエース。 どんな困難にも迷うことなく立ち向かう、高町なのはとフェイト・T・ハラオウン。 だが。 震えていた。 なのはの白いバリアジャケットが。 何者にも屈せぬはずのエース・オブ・エースの身体が、今は目の前の「それ」の放つ恐怖に当てられ、ただの娘同然に震えていた。 純白の鱗と青い瞳を輝かせる、3つの頭を持った「白き龍」を前に。 この状況に至るまでの経緯を説明するには、少々時間を遡らねばなるまい。 ちょうどレイが重傷を負って倒れた直後のこととなる。 きっかけは、外を見張っていたオブライエンが、「おかしな奴がいる」と皆に報告したことだった。 深夜のデュエルアカデミアを訪れたその男は、白いコートに身を包み、頭には妙なマスクをかぶっていた。 「あ、アンタ、カイバーマンじゃないか!?」 そしてその男は、十代の知り合いだった。 (…何だかおかしな人だね…) (ツッコまないでおいてあげよう、なのは…) なのは達はこの男――カイバーマンのセンスにまるでついて行けず、奇異な視線で彼を見つめていた。 それも当然である。「正義の味方 カイバーマン」は普通の人間ではない。デュエルモンスターズの精霊だ。 「そういえば、そんなカードもあったわね…」 奇抜な格好ばかりに気を取られて、すっかり存在を失念していた明日香が呟く。 明日香のようなデュエリストでさえも存在を忘れていたのは、何もカイバーマンがただの弱小カードだからという理由ではない。 その特殊効果が原因で、デッキに組み込む者がほぼ皆無と言っていいカードだからだった。 「十代、こいつのこと知ってるのか?」 当然カイバーマンには会ったこともないヨハンが尋ねる。 「ああ、2年前にちょっとな。俺以外には、翔と万丈目が会ってる」 「サンダー!」 「やっぱり夢じゃなかったんだ」 十代以外の2人は、かつてのカイバーマンとの遭遇を夢か何かだと認識していた。 デュエルの精霊の存在、出会うまでの過程…それら全てがあまりに荒唐無稽だったためである。 「…そうだ。なぁカイバーマン、アンタがいるってことは、やっぱりここはデュエルモンスターズの世界なのか?」 「知らん。気がついたらここにいた。俺もこのような場所は覚えにない」 正義の味方などという二つ名の割には、あまりに尊大で突き放すような口調でカイバーマンが返す。 「だが、俺達精霊が実体を持てるという点では共通している」 「なんだぁ…結局分からないままかよ」 精霊の世界の住人たるカイバーマンからなら、有力な情報を得られるのではと期待していた十代だが、 それも叶わずがっくりと肩を落とす。 「…確かなことと言えば…」 だが、カイバーマンは更に言葉を重ねた。 「この地には…何やら禍々しい、妙な気配が渦巻いている。それらはどうやら、貴様らに向けられているらしい」 「ひょっとして、俺達をここに飛ばした奴…!?」 「だろうな」 そこまで言うと、カイバーマンは、そのマスク越しに十代の目を見た。 竜の頭をかたどったマスクの青い目が、じっと十代を見据える。 「遊城十代…貴様には、いかに巨大な相手が立ちはだかろうと、それに立ち向かう覚悟があるか?」 強い口調で、カイバーマンが問いかけた。 対する十代は、それまで真剣な顔つきで彼を見返していたが、ふっとその顔にいつもの強気な笑みを浮かべる。 「…もちろん! 俺は誰のデュエルだって、受けてやるさ」 「ククク…ならば、もう一度俺と戦って証明してみるか?」 カイバーマンはさぞ愉快そうに笑うと、自らの左腕にはめたデュエルディスクから、1枚のカードを引き抜いた。 その手に輝くのは、白いドラゴンの絵柄を持ったモンスターカード。 「…俺の青眼(ブルーアイズ)と」 「なっ…!?」 その場のデュエリスト達に衝撃が走った。 一方、目の前のカードが何かも知らない管理局の面々は、突然の反応についていけない。 「ヨハン君、あのカードって…?」 「そっか…なのはさん達は知らなかったな。 …あのカードは、『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』…世界に3枚しかない、究極のレアカードだ」 ―青眼の白龍― 攻撃力3000 防御力2500 通常モンスター この世に生まれたのは、デュエルモンスターズの創成期。 その圧倒的なパラメータは、当時の水準ではあまりに過ぎた力だった。 故に、僅かな枚数しか生産されないうちに、その生産そのものが中止されたという。 今でもこのカードを超える通常モンスターは存在していない。だが、このカードの価値はそれだけでついたものではない。 世界最大のアミューズメント企業「海馬コーポーレーション」の若社長・海馬瀬人。 決闘王・武藤遊戯の唯一無二のライバルにして、彼と共に史上最強に名を連ねるデュエリスト。 その海馬が絶対的な信頼を置く下僕こそが、青眼の白龍なのだ。 あらゆるデュエリストのあらゆるモンスターを粉砕する、最強のドラゴン。 「三幻神」のカードがエジプトの遺跡に返還された今では、まさに世界中のデュエリスト全ての至宝だった。 「…いや、やめておこう」 ふと、カイバーマンは気が変わったのか、十代に向けた視線をそらす。 その代わりに、彼の目にとまったのは――なのはだった。 「え? 私…?」 「貴様らはただの人間であるにも関わらず、デュエルモンスターズの上級モンスター並のエネルギーを発している… …特に一際優れた貴様の力、何より戦士としての戦う意志…この目で見てみたくなった」 カイバーマンはそう言うと、後方へと後ずさって距離を取る。 広く取った間合いは、戦いのステージのつもりだろうか。 「さぁ、来るがいい異世界の女! 俺と青眼にその力を見せてみろ!」 カイバーマンは高らかに喊声を上げた。 「ええと…これは、私が出ていくべき…なのかな?」 唐突な展開についていけないなのはは、困惑しながらも足を進める。 と、それを制した者があった。 「え…」 「あたしが行きます」 その者――スバルはそう言うと、バリアジャケットを展開し、カイバーマンの前に立つ。 「貴様がやるのか?」 「なのはさんを傷つけさせたりはしない。そのドラゴンとはあたしが戦う!」 リボルバーナックルの拳を硬く握り、スバルが宣言した。 彼女は怒っていたのだ。突然現れ、なのはと戦うなどと言い出した、この男に。 「ふん…まぁいいだろう。ちょうどいい前座だ」 しかしカイバーマンは、至極余裕な様子でそう言い放つ。 「ぜ…前座ぁ!?」 余興呼ばわりされたスバルは、思わずオーバーリアクションで返した。 「見せてやろう…俺の強く気高く美しき下僕の姿を!」 「あんまり嘗めてかかると痛い目見るよっ!」 「青眼の白龍、召喚ッ!」 カイバーマンがデュエルディスクに、そのカードをセットした。 力は姿を帯びる。 人間の何倍…いや、十何倍にも匹敵する巨大な身体。全身を包む白い鱗。真っすぐに標的を見据える青い瞳。 『…ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオーンッ!』 雄たけびが上がる。 最強のドラゴン・青眼の白龍が、遂に真夜中の砂漠にその姿を現した。 「出た…!」 「青眼の白龍…実物を見るのは初めてだ…!」 デュエリスト達から次々に声が上がる。そして、その登場に驚いたのは、管理局の面々も同様だった。 「すごい…」 「こんな奴までいるんだ…」 目の前の青眼の白龍が放つオーラに、なのは達は釘付けになっていた。 全身からにじみ出る、圧倒的なまでの力。神々しささえも感じられる、純白の光。 これほどまでに強く雄雄しき存在を目にしたことがなかった。 果たしてキャロのフリード…いや、ヴォルテールでさえも、これほどの存在感を持つことができるだろうか。 「うわぁ…」 今まさに、その青眼の白龍と相対するスバルでさえ、一瞬見とれるほどだった。 それだけの絶大な存在感をもって、「白き龍」はこの世に顕現したのだった。 「ククク…どうした? 見惚れていては勝負にならんぞ」 「はっ…!」 余裕を含んだカイバーマンの声に、ようやくスバルは我に返る。 そうだ。今から自分は、この竜と戦うのだ。 スバルは気持ちを切り替えると、真っ向から青眼の白龍を睨みつけた。 見れば見るほど強そうなモンスターだ。 日中に戦ったハーピィ・レディ三姉妹の攻撃力は、サイバー・ボンテージの効果も相まって2450だったが、 こちらの攻撃力はそれすらも凌駕する3000である。 加えて言えば、スバルがティアナとのコンビネーションの末にようやく撃破した3万年の白亀の守備力ですら2100だという。 攻撃力3000。その破壊力は、最早彼女には見当もつかなかった。 故に、スバルはカートリッジをロードし、魔力スフィアを形成する。 (最初っから全力でぶっ飛ばす!) 決意を込め、その拳を振りかぶった。 カイバーマンもまた、必殺技の気配を察し、青眼の白龍へと指示を出す。 「いきなり全力か…いいだろう、気に入った! 正面から迎え撃て、青眼!」 『グオオオオオオオオオオオオオッ!』 太い咆哮と共に、青眼の白龍の口元で、青白い光がスパークする。 「ディバイィィーン…バスタァァァァァァーッ!!!」 「滅びのバーストストリィィィィィィィームッ!!!」 少女とドラゴン。双方から青い光の束が、一直線に相手目掛けて放たれた。 衝突の瞬間、 「う…うそぉっ!?」 あまりにもあっけなく、スバルのディバインバスターが押し返されていった。 一瞬の膠着もなく、青眼の白龍の放つ閃光が、無情にもスバルへと迫っていく。 「うわうわうわうわうわーっ!」 冗談ではない。こうも易々と自分の最大技を押し返してくる攻撃を喰らっては、最悪命まで持っていかれるのではないか。 故にスバルは焦った。 だが、そうしたところで既に無駄なことだ。攻撃態勢のスバルは、そう簡単に回避行動を取ることはできない。 遂に滅びのバーストストリームは彼女が立つ地面を殴りつけ、凄まじい爆発を引き起こした。 人1人などあっという間に蒸発させてしまう熱量と、周囲の十代達さえも吹き飛ばさんとするほどの衝撃波。 「ス…スバルーッ!」 ティアナが絶叫する。 死んだ。 誰もがそう思った。いくら魔導師と言えど、防御魔法も展開していない状況では、この暴力的なまでの破壊の前では無力である。 「粉砕! 玉砕! 大・喝・采ッ! ワハハハハハハハハハハハハ!」 カイバーマンが勝利宣言をする。高らかに上がる笑い声は、滅びのバーストストリームの爆音の中でなお轟いていた。 やがて壮絶な破壊の後、ようやく土煙も晴れた着弾点には、案の定何も残っていなかった。 「…ん?」 しかし、それは青眼の白龍の攻撃が、スバルの身体を残らず灼き尽くしたからではない。 カイバーマンがふと上空を仰ぐと、そこには彼女を抱える黒い服の魔導師。 「…へ? フェイト…さん?」 ようやく状況を把握したスバルは、自らを救出した者の名を呼ぶ。 「大丈夫だった、スバル?」 「あ、はい…」 間一髪、ソニックムーブでスバルを助け出したフェイトは、地上に着地すると、スバルの身体を降ろす。 「スバル!」 「よかったぁ…心配しましたよ、スバルさん!」 ティアナ達が口々に声をかけながら、死んだとばかり思ったスバルの元へと駆け寄り、無事を喜ぶ。 そんなスバル達を安堵の表情で見やると、 なのはは真剣な面持ちでカイバーマンを――その頭上に浮かぶ青眼の白龍を見据え、瞬時にバリアジャケットを展開する。 「ふん…ようやくその気になったか」 カイバーマンはすっかり待ちわびた様子で言う。 なのははそれに応えることもなく、戦闘フィールドへと歩を進める。 フェイトもそれにならい、彼女のすぐ隣へと立った。 「確かに…あの威力は、もう私が相手するしかないね」 「そうみたいね」 なのはの言葉をフェイトが肯定する。 「…少し、頭冷やさせないといけないかな?」 「許可するわ。私もそうするから」 キッと最強のドラゴンを睨むと、なのははレイジングハートを、フェイトはバルディッシュを構え、同じ高さまで昇った。 「ククク…まぁいいだろう。だが、貴様ら2人がかりでは、流石の青眼もただでは済むまい… …そこで、俺はこれを使わせてもらう!」 カイバーマンが新たに引いた3枚のカード。そのうち1枚は… 「マジックカード・融合を発動!」 「まさか!?」 青眼がフィールドに立っている状態で、更にモンスターを2体追加した上での融合。 その条件から導き出される最悪の結果に、明日香は信じられないといった様子の声を上げる。 「そのまさかだ。奴のデッキは、あの海馬瀬人のデッキと同じ…つまり、奴のデッキには…」 万丈目の声と、残り2枚のカードを表へと向けるカイバーマンの動作が重なる。 「青眼の白龍が、3枚入っているんだ!」 「今こそ融合せよ、青眼!」 カイバーマンが号令した。 2枚のカードから、更に2体の青眼の白龍が飛び出し、既に出現していた1体と共に天空へと羽ばたく。 3体のドラゴンの身体が強烈な光を放ち、やがて光そのものとなり、複雑に混ざり合う。 雷鳴が鳴った。 暗雲が渦巻いた。 3つの光は1つの巨大な光となり、青眼の白龍さえも優に凌ぐ、絶対的な力の権化を降臨させる。 「強靭! 無敵! 最強!」 カイバーマンが、力をこめてその名を叫ぶ。 「これぞ我が下僕の究極なる姿…青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)!」 ――ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーッ!!! 咆哮が轟いた。 ―青眼の究極竜― 攻撃力4500 防御力3800 融合モンスター 小山のような巨体。白い鱗に青い瞳。地獄の番犬を彷彿とさせる、3つ並んだ竜の首。 これこそ、青眼の白龍の究極形態。史上最強の殺戮兵器。 最強のドラゴンたる青眼の白龍。それを3体も束ねた存在だ。であれば、その力は最早神にも等しき存在なのではないか。 究極竜は語る。 言葉ではなく、気配で。 圧倒的なまでの存在感と冷徹なまでの殺意が、強烈な恐怖の刃となって、その場の者達を容赦なく貫く。 幾多のデュエルを切り抜けてきたデュエリスト達でさえ、その迫力に、ただただ打ち震えていた。 目の前の青眼の究極竜は、紛れも無い本物。 ソリッドビジョンなどでは到底伝わらない、本物の存在感が、デュエリスト達の身を震わせる。 そして、それを眼前で見せ付けられたなのは達の心境は、いかなるものであっただろうか。 恐怖。 今までのありとあらゆる戦場でも経験してこなかった、圧倒的なまでの恐怖。 自分の腕には自信があるはずだった。 しかし、このドラゴンの前では、それにいかほどの意味があるだろう。 防御魔法は障子程度の壁にしかなるまい。通常の魔力弾など豆鉄砲ほどの価値もない。 ありとあらゆるものを蹴散らす、暴力的な力。 エース・オブ・エースの身体が、小刻みに震えていた。 単発総合目次へ 遊戯王系目次へ TOPページへ
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高町なのは(A s) |\ ___ __ | \∠ _ . . . \ / / | > ' .  ̄ ̄ .ヽ、 . ヽ. / / j/ . ._ . .-- . 、 . . ヽ . .ー . .‐ .- 、 / / / ., . ¨ . . . . . . . . . . . . . . . . \ / / / / / . . / . / . . . . . . . . . . . . .ヽ j / / j〃 / ./ . . / / . / . . . . . . . . . ヾム.≦ _ l . , ' . / . . . /. ./. ./.. ..j i ヽヽ マj- _ . . \ /| . . / . / { . ; 斗 .十-j 、 . ハ . , r‐- .、! .', . , . } \ ヽ . . \ / . .| . . /l . . ,' . l / /l /l . ∧ ..l ヽ l \ .iヽ} . .', lヽ \. \ . . \ / . . . .∧ . .l ハ . .lヽ jl . .l l/ .j /_ ヽj ヽ!__ ',l . l . . l .j ヽ ヽ \ . . ヽ / . . ./ ヽ .j |.ム . |, . . 、 j_r==ミ z==.、j ./ . .//\ l ', . . .',. { . . ./ レヘ .!ヽ/ ハ´ wwx xww ヽ/ . 〃 \ | . l . . l .j . . .l `j l . i ハ _' _ ∠ イl \j j . . . . .| l . . ハ | . l 小、 l 〉 / . // / . . . l ヽ . . ヽ | . l |. 丶、 ヽ._ ノ イ . , ./ _/ . . . / \ _ , ゝ ヽ l |__ェ=i> _-_ <i=/ . /  ̄フ . . ./ ヽj  ̄ ̄ ̄  ̄ ¨/ ./7 ∠ - ィ7.ゝ- 、 z― ,〃=く /// ヽ二ヽ z― 、// _ ヽ ,r≠ ┴'、 / 〈∠, / ¨ マヽ 出典:魔法少女リリカルなのはA s 死亡時期:1日目・早朝 殺害者:ミリオンズ・ナイブズ 最期の言葉:「え……?」 【ロワ内での活躍】 殺し合いを止め、プレシアと「お話」をすべく行動を開始する。 その後、同じくプレシアに翻意するカレン、及びチンクと遭遇。 しかし、高町なのはの名を口にしたことで、チンクの態度が激変。襲撃を受けることとなった。 曰く、このデスゲームに参加している「もう1人のなのは」を知っているとのこと。 曰く、自分はそのなのはから作られたクローンであるということ。 カレンの左腕を失いながらもチンクを撃破し、退避に成功したなのはだったが、彼女の言葉はその胸に大きな不安を抱かせることとなった。 その後、カレンを治療すべく病院を目指していたなのはは、殺生丸との戦闘によって意識不明となったナイブズを発見、共に病院へと連れて行く。 しかし、2人を病室のベッドに寝かせ、医務室を探しにいった間に、カレンは行方不明となってしまった。 自分の不注意のせいで彼女が犠牲となった。そう判断したなのはは失意に暮れる。 だがそこへ、ナイブズが手を差し伸べた。自分は彼女を連れ去った犯人に心当たりがある、と。 その先を聞く前に、なのはは他ならぬナイブズの凶刃に倒れた。 カレンを消滅させたのがナイブズであること。 自分がまぎれもない本物の高町なのはであること。 プレシアがこのデスゲームを催した理由。 それらをなのはが聞くことは、遂に叶わなかった。 追悼コメント あ・・あっけねえ・・ -- homuhomu(21) (2010-04-13 05 26 01) 名前 コメント
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高町なのは フェイト・テスタロッサ ユーノ・スクライア アルフ クロノ・ハラオウン リンディ・ハラオウン プレシア・テスタロッサ 高町なのは プロテクション(第1話) シーリング(第2話) エリアサーチ(第3話) ディバインバスター(第3話) レストリクトロック(第2.5話) ワイドエリアプロテクション(第4話) フライアーフィン(第4話) フラッシュムーブ(第6話) ディバインシューター(第6話) ディバイドエナジー(第9話) ディバインバスター・フルパワー(第9話) ラウンドシールド(第11話) フラッシュインパクト(第11話) スターライトブレイカー(第11話) ディバインシューター・フルパワー(第12話) ディバインバスター・フルバースト(小説版) ライトニングプロテクション(小説版) フェイト・テスタロッサ フォトンランサー(第4話) アークセイバー(第4話) ブリッツアクション(第5話) サイズスラッシュ(第5話) ディフェンサー(第6話) シーリング(第7話) サンダースマッシャー(第7話) サンダーフォール(第9話) サンダーレイジ(第9話) フォトンランサー・マルチショット(第11話) ラウンドシールド(第11話) ライトニングバインド(第11話) フォトンランサー・ファランクスシフト(第11話) ユーノ・スクライア シーリング(第1話) トランスフォーム(第1話) 封時結界(第4話) フローターフィールド(第4話) サークルプロテクション(第5話) トランスポーター(第5話) ラウンドシールド(第9話) チェーンバインド(第9話) フィジカルヒール(第13話) アルフ バリアブレイク(第6話) フォトンランサー・マルチショット(第8話) チェーンバインド(第9話) フィジカルヒール(第13話) クロノ・ハラオウン ラウンドシールド(第8話) スティンガーレイ(第8話) スティンガースナイプ(第12話) ブレイクインパルス(第12話) ブレイズキャノン(第12話) フィジカルヒール(第13話) リンディ・ハラオウン ディストーションシールド(第12話) プレシア・テスタロッサ サンダーレイジO.D.J(第9話) フォトンバレット(第10話) フォトンバースト(第10話)
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12月2日 なのは、リンカーコアの蒐集を続けるヴィータの襲撃を受け、戦闘に。 なのはが初めて体験する、カートリッジシステムを使用して魔力を瞬間的に強化する「ベルカ式」魔法の一撃に なのはは負傷。レイジングハートも破損するが、そこに救出に現れたのはフェイトとユーノだった(A sDVD/第1話) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 戦闘。 フェイトとヴィータの戦いにアルフ、シグナム、ザフィーラが加わる。劣勢な戦いになのはは傷ついた体を押して 結界破壊のスターライトブレイカーを放とうとするも、シャマルの手によってリンカーコアを奪われてしまう。 そしてクロノは映像によって「闇の書」の存在を確認する。(A sDVD/第2話) なのはとフェイト、ギル・グレアム提督と出会う。 フェイトの保護観察官にあたるグレアムは「自分を信頼してくれている人を裏切らないこと」条件に、 フェイトの行動を制限しないことを約束した。(A sDVD/第3話) リンディ、クロノたちアースラのスタッフが、「闇の書」の捜索、魔導師の襲撃事件の担当になる。 アースラは修復中のため、臨時作戦本部をなのは宅の近所に決定。アリサとすずかも引っ越し先を訪れ、 フェイトと初対面。一方、ヴォルケンリッターとの対戦で破損したレイジングハートとバルディッシュは、 自らの強化「ベルカ式カートリッジシステムの搭載」を願い出る。(A sDVD/第3話) ある日の出来事。はやて・守護騎士一同と、なのは・フェイトらが、偶然同じスーパー銭湯へ。 すずかとはやて、アリサとヴィータなど、偶然の出会いはあったものの、なのは・フェイトと ヴォルケンリッターの遭遇はなし。(A sサウンドステージ01/第3.5話) フェイト、聖祥大付属小学校へ編入。なのはと同じクラスに。(A sDVD/第4話) レイジングハートとバルディッシュの修理が完了。 転入1週間後のフェイト。徐々に学校に馴染み、友人たちとの日々を過ごす。(A sTHE COMICS/ReporIV) クロノはユーノに無限書庫での「闇の書」についての調査を頼む。 クロノは自分の師匠であるリーゼ姉妹を訪ね、ユーノの調査への協力を依頼する。(A sDVD/第6話) はやての夢の中で管制人格と出会う。 闇の書の歴史と守護騎士たちの過去を知って悲しむが、目覚めた時にはその記憶を一時的に無くしていた。 (A sサウンドステージ02/第6.5話) 再び現れた仮面の戦士 管理局に捕捉されたシグナム・ヴィータ・ザフィーラ。仮面の戦士は、なのはの攻撃からヴィータを救い、 その数分後に別の場所でシグナムと戦闘を繰り広げていたフェイトの背後からリンカーコアを掴みだした。 (A sDVD/第7話) 捜査司令部がアースラに戻される。 「闇の書」対策の最後の切り札となる反応砲「アルカンシェル」を搭載したアースラ。 フェイトのリンカーコアが奪われたことや、駐屯所の管制システムがハッキングされたこともあり、 司令部はアースラへと復帰。(A sDVD/第8話) ユーノは「闇の書」の本来の名前が「夜天の書」ということと、本来の目的と、その改変の変遷を報告する。 無限書庫での調査を続けるユーノ。引き続き「闇の書」の停止や封印方法について調べを続ける。(A sDVD/第8話) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 12月13日 はやてのお見舞いに行ったなのはとフェイト。「闇の書」の主・はやてとの初めての出会い。 守護騎士たちじゃ見舞いの際を避けることで出会わないようにつとめる。 そして「闇の書」がはやてを侵食する速度が上がってきていることも判明する。(A sDVD/第8話) 12月22日 「闇の書」の収集が残り60ページまで進む。 守護騎士たちは入院を続けるはやての元に戻らず、ひたすらに収集を続けていた。(A sDVD/第9話) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 12月24日 蒐集から戻った守護騎士たちと、はやての見舞いに訪れたなのはとフェイトが病院で鉢合せをする。 シグナムたちからはやてが闇の書の主であることを聞かされ、ユーノのレポートで「闇の書」の過去を知っていた なのは達とフェイトは真実を伝えようとするが、騎士達はそれを聞き入れず、戦いとなる。戦いに最中、乱入した 仮面の戦士によって守護騎士たちのリンカーコアが強奪。それによって完成した「闇の書」と守護騎士達が消滅 させられたことに衝撃を受けたはやてによって封印が解かれ、「闇の書の意志」が目覚めてしまう。(A sDVD/第9話) 事件の背後にはグレアムの姿が。 2人の仮面の戦士はクロノによって、リーゼ姉妹であることが判明。仮面の戦士の動きは「闇の書」の完全なる封印を 狙ったグレアムによるものだった。(A sDVD/第10話) 「闇の書」内部に吸収されるフェイト 激しい攻防を繰り広げる「闇の書の意志」となのは・フェイト。懸命に事態収束にあたるが、フェイトは 「闇の書」内部に吸収される。フェイトは「闇の書」の中で自分の過去と記憶に向き合い、同時にはやても 「闇の書の意志」と対話する。フェイトは過去の記憶に別れを告げ、はやても「闇の書」の防御プログラムを切り離し、 管理者権限を得る。(A sDVD/第11話) 「闇の書」の防衛プログラム「闇の書の闇」を破壊、「闇の書」事件は解決する。 「闇の書の意志」に「祝福の風・リインフォース」の名を贈ったはやて。守護騎士プログラムも復旧し、騎士達は再生する。 そして、暴走を始めた「闇の書の闇」のコアを宇宙空間の軌道上へ転送、アルカンシェルにより、完全消滅させる。 (A sDVD/第12話) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― リインフォースとの別れ。 はやてへの侵食は止まったものの、再び狂った防衛プログラムを生成してしまう、というリインフォースは 自ら消滅することを選び、騎士たちの見守る中、愛する主であるはやての前で「世界で一番幸福な魔導書」 としてその長い生涯を閉じる。(A sDVD/第13話) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 事件その後 グレアムは希望辞職の形となり、故郷へ帰ることに。フェイトは「執務官になりたい」という夢を語り、 なのはも魔法と向き合い、管理局の仕事を継続するつもりであることを語る。ユーノは無限書庫の司書へ。 はやても嘱託魔導師として、守護騎士たちも管理局任務への従事という形で保護観察を受けることに。(A sDVD/第13話) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1月4日 任務を終え、平和な時間を過ごすなのはとフェイト。はやてはそんな2人にリインフォースへの思いを馳せる。 (A sTHE COMICS/ReportIV) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― なのは・フェイト・はやて、時空管理局に仮配属。 資格取得、試験や研修などで忙しい日々を過ごす。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 4月 4年生になったなのは・フェイト・はやて・アリサ・すずか、5人で一緒のクラスに。 足も徐々に良くなり復学を果たすはやて。そして土曜日、リンディ運営のお花見が開催される。その席でフェイトは、 リンディからの養子縁組の申し出の答を出す。はやてはリインフォースの名を継ぐ自身のデバイス作成プランを考え、 融合型デバイスの作成を決める。(A sサウンドステージ03/第14話) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 5月 なのは、フェイト、はやては時空管理局に正式に入局。 なのはは武装隊の士官候補生、フェイトは執務官候補生としてアースラに勤務。はやては特別捜査官候補生に。 シグナムたちはは武装隊の特別捜査官補佐になっていた。(A sTHE COMICS/TheEpilogue of ACES) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 6月~12月 はやて、特別捜査官として正式採用。 ロストロギア関連の事件解決に才覚を発揮。なのはとフェイトもそれぞれの部署で士官として正式採用され、 キャリアを重ねる。リンディは艦長職を退き、本局勤務へ。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2年後、新春 はやての手によって、リンカーコアを分け与えるという形でリインフォースIIが誕生。 八神家の末っ子として日々を過ごし始める。同時期、聖王教会の関連任務で招かれた先で、はやては カリム・ヴェロッサの義姉弟と知り合い、古代ベルカ式継承者同士として友人に。以降、互いに気安い仲となる。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2年後、冬 教導隊入りを目指して日々を過ごしていたなのは、武装隊の演習でヴィータや隊員たちとともに異世界に。 その際、「事故」が発生。なのは、負傷する。(StrikerS THE COMICS/Episode2「A s to StrikerS」Phase2) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2年後冬-3年後、夏 フェイト、半年に一度の執務官試験に2連続で落第。 (StrikerS THE COMICS/Episode3「A s to StrikerS」Phase3) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 3年後、夏 なのは現場復帰。リハビリ生活を続けながら、再び夢を目指し始める。 秋口には実質上の完全復帰、魔導師ランク「S」を取得。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 3年後、冬 フェイト、執務官試験合格。(SoundStageM TheStrikerS) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 4年後、春 なのは念願だった教導隊入りを果たす。(SoundStageM TheStrikerS) フェイト、魔導師ランクS取得。同時期に携わった事件で、研究施設から1人の少年「エリオ・モンディアル(当時4歳)」 を保護。数か月の仮保護期間を置いた後、正式に保護責任者となる。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 4年後、秋 はやて、上級キャリア試験受験、合格。指揮官としての道を進み始める。 リインフォースII、局員採用試験合格。それを受けて、はやてはそれまで彼女と共用で使用していた魔導書型ストレージ 「蒼天の書」を正式にリイン専用とし、自身用のストレージを作成。その名を、かつて自身の運命を開いた魔導書と 同じである「夜天の書」とし、「夜天の主」の名とともにその使用を開始する。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 6年後=新暦71年、春 なのは・フェイト・はやて、私立聖祥大付属中学校の3年生に。 「ちょっとした同好会的任務」へ向かう。(A sDVD/第13話) その任務で出会ったロストロギア「レリック」が、後の一同の運命を大きく変えることになることを、一同はまだ知らなかった。 (StrikerS THE COMICS/Episode1~2「A s to StrikerS」Phase1~2) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― その後2週間後 休暇を利用して、はやての研修・演習先であるミッドチルダ北部へと遊びに行ったなのは・フェイト。 同日、ミッドチルダで暮らす少女、スバル・ナカジマとギンガ・ナカジマは、父・ゲンヤ・ナカジマが部隊長を務める 部隊に遊びに来る予定だったが、突然の空港火災が発生。スバルとギンガの2人はそれに巻き込まれる。 臨時協力の魔導師として、現場の救助に向かったなのはとフェイト。スバルはそこでなのはに救出され、 以降、自らの道を進み始める。(StrikerS/第1話) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 新暦71年 はやての「自分の部隊を持ちたい」という夢が、カリムの協力によって早い時期での実現の可能性を帯びてくる。 管理局地上本部が持て余すロストロギア「レリック」の保守管理・対策部隊としての構想で部隊の準備が進み始め、 はやてに協力するフェイトは部隊の人材探しに取りかかる。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 新暦72年2月 フェイト、ある事情から竜召喚師の少女キャロと出会い、行き場のなかった彼女を保護。 保護責任者としてキャロの立場を確保する。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 新暦72年5月 フェイトの希望指名によって、本局勤務の通信士兼デバイスマイスター、シャリオ・ルフィーニが 執務官補佐となり、フェイトと行動を共にしはじめる。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 新暦72年6月~ スバル・ナカジマ12歳。ミッドチルダの管理局陸士訓練校に入行。当時13歳のティアナ・ランスターと出会い、 「自作デバイス持ち同士」ということから、ルームメイト兼コンビに。 以降、魔導師としての道を進み始める。未熟なスバルに最初は苛立ってばかりのティアナだったが、 スバルが秘めた思いやその前向きさに少しづつ共感を覚えてゆく。なお、ティアナはこの時期スバルの紹介で ギンガに出会っている。(StrikerS THE COMICS/Episode4~5「Starting Stars」Phase1~2) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 新暦73年5月 スバル・ティアナ、訓練校卒業。陸士386部隊・災害担当突入隊へと配属される。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 新暦75年3月 機動六課、4月からの正式稼働を前に準備が進んでゆく。隊舎セッティング開始。 エリオ・モンディアル、管理局員としての研修課程を修了。管理局員となり、機動6課への配属が決定。 キャロ・ル・ルシエ、辺境自然保護隊から機動六課への配属が決定。アルトやヴァイスら、 一同が機動六課へと集結してゆく。(StrikerS THE COMICS/Episode7「Started Riot 6」) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 新暦75年4月 スバル・ティアナ、魔導師ランク試験「陸戦Bランク」を受験。 そして、なのはとスバルは再開する…。(StrikerS/第1話)
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キャラクター スキル スキルは「ロングレンジパワー」「MPガード」 技性能 連続技
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第?話 正義の味方?参上 今までに確認されたことのない魔力が発生したため確認にいくなのは。 そこには一人の男が立っていた。 男は赤く長い髪をたなびかせ奇抜なデザインの白と黒のロングコートを着ていた。 そして極めつけは顔の半分以上を隠す白いドラゴンの形をした兜を被っていた。 なのはは男に尋ねた。 「あなたは誰なの?」 「いいだろう、教えてやろう!俺は」 男はどこか威厳のある声で名乗った。 「正義の味方カイバーマンだ!!」 単発総合目次へ 遊戯王系目次へ TOPページへ
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世界は数多のifによって構成されている。 人が様々な世界を望み、分岐していくことで無限に増え続ける。 そこで行われる出来事は全てが現実であり、そして事実として残っていくことになるのだ。 世界を作り上げるのは自分たち自身であることを人は知る必要がある。 第1話魔王誕生 ジェイル・スカリエッティ事件…管理局全体を揺るがした事件は、機動六課を中心として無事解決を図ることとなった。 多くの犠牲を残し。 機動六課での中心的な攻撃人物であった高町なのはの娘として可愛がられたヴィヴィオは、その小さな命を散らした。 高町なのはは、責任を感じ、管理局から身を引くこととなった。 一方、他のもの、機動六課の責任者であった八神はやては六課の功績から管理局本局の上層部にへと出世していくことになる。 フェイト・T・ハラオウンもまた、なのはがいなくなった部分を埋めるため、軍事部門で力を出すこととなっていた。 『ついては…このような事件が二度と起きないため、管理局は今まで以上に強力な力を持つことが必要なのです』 新聞に大々的にな見出しにのっているはやての姿を見つめる高町なのは。 …今ではほとんど会うことが出来ない人物を見つめながら、なのはは息をつく。 「どうしたの?なのはちゃん?」 それは月村すずかとアリサ・バニングス。 高町なのはが魔法世界から身を引くこととなった今では、彼女達との関係が深くなっていた。 「ううん。なんでもない」 なのははそういって新聞を荷物にしまう。 「なのはも新聞を読むなんてすっかり社会人だね」 「そういうアリサちゃんだって、すっかり大人の女性って感じだよね」 「そうかな?」 なのはたちは、休日を利用して町に遊びに出ていた。 折角の休みを満喫し、嫌なことを忘れたいという思いがなのはにはあった。 「カラオケでもいこっか?」 「いいね~いこういこう!」 なのはは、彼女達と一緒にいるときは、あの辛い日々を忘れることが出来た。 フェイトや、はやてたちと会うとイヤでもヴィヴィオのことを思い出してしまうから。 このまま忘れてしまっていいものなのか…そういった思いがなのはの心のそこにはあった。 なのはに引っかかっている部分。 それはヴィヴィオが直接死んだところ見ていないということ。 ヴィヴィオは管理局上層部に回収され、監禁されているという噂を事件当初に耳にしていたのだ。 はやてに聞いたが、それはないという。でも……。 「どうしたの?なのは?置いてくぞ」 「ごめん…」 やっぱりそんなことはないのかな…私は、ヴィヴィオのことを受け入れられないだけなのかな。 なのははそんな二つの思いの狭間に苛まれていた。 なのはは、カラオケにいっても気が晴れず、部屋を出て非常階段で息をついていた。 青空を見つめるなのは…。 「なのはー!!」 そのどこか聞きなれた声に、なのはは振り返る。 そこにいたのはフェレット型のユーノの姿だった。 「ユーノ君!?」 「探したよ!匿ってほしいんだ」 「なにかあったの?」 「ひとまず、話は後で…」 ユーノはなのはをつれて、カラオケの空いている部屋の一室に隠れる。 「誰に追われているの?管理局の連中だよ。僕はまずいものを見つけてしまったらしい」 ユーノはそういうと、人型に変身する。 「なのはにこの場所にいってもらいたいんだ」 それは地図だった。 それは、神社がある場所…まだ私が小さいきに、ジュエルシードを含んだ怪物と戦った場所でもあった。 「頼んだよなのは…」 そういうとユーノは部屋を飛び出していく。 「ユーノ君……」 なのはは彼を追うことが出来なかった。 なのはは、アリサとすずかに事情を説明して、神社に1人でむかうこととなった。 どこか不安を感じながら、神社に向かうとそこには1人の緑の髪の女子がいた。 自分と同じくらいの女子は、なのはをみつめる。 「あ、あなたがユーノ君がいっていた…」 「なるほどな。お前が適正者というわけか…あの男、なかなか見る目があるようだな」 「あなたは?」 なのはの事を見ていろいろと言い出す女子に問いかけるなのは。 緑色の髪の女子は見据えたまま 「私は、C.C.という…」 「え?シー…ツー?」 その人間とは思えない名前に違和感を感じるなのは。 「いたぞ!!」 その声の主はすぐに現れた。 管理局の職員…というよりも実戦兵たちである。 なのはには何がなんだか分からない。 「既に覚醒済みか…目標物および、それを見たものは誰であろうと殺せというはやて総督の命令だ」 管理局の職員たちは、魔法を唱え始める。 「ちょっと待って!一体なんのことをいて、それにはやてちゃんってどういうこと!?」 なのははそういうが、彼らは無視をする。そして…1人が放った攻撃がなのはを狙った。 「やめろ!!」 飛び出したC.C.がなのはをかばう。 命中したC.C.はそのまま、力なく倒れる。 おびただしい血がながれ、彼女は簡単にやられてしまった。 「酷い…どうして、こんな」 「ちっ。かまわん!!あのフェレットのように、こいつも…」 「ユーノ君!?」 まさかユーノ君まで…どうして、なんで? わけがわからないなのはだが、そんなことは、向こうには関係がないのか、すぐに次の攻撃の準備がされる。 こんなところで死んじゃうの?まだ私は…何も知らないまま? そんな…フェイトちゃん…はやてちゃん……ヴィヴィオ。 「力を望むか?」 それは、さっきの緑色の髪の女子の声だった。 「果てしない、世界を変える力を」 彼女は問いかける。 「運命を変え、真実をしる王の力を…」 なのはは彼女を見つめる。 「知りたい…真実を、そして、運命を変えたい」 「王の力はお前を孤独にする…それでも私との契約を果たしすか?」 「結ぶよ…その契約」 「…ねぇ。真実を変えるには、世界を変えるには、まずは破壊しないといけないんだよね。今までのことを…、私自身も…」 その言葉の意味がわからない職員達は首をかしげる。 「すぐにお前は壊れる。これで最後だ!」 魔法を唱える職員達を見つめるなのは。 「……高町なのはが命じる。お前達は……壊れろ」 すると職員達の身体が突如、膨張して破裂する。 それは神社に、真っ赤な血で染めることとなった。 「私は立ち向かう。そして偽りのすべてを……壊す」 なのはは口元を微笑ませた。